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13位でも、小さくガッツポーズ。
神野大地の初マラソンは手応え満載。

posted2017/12/06 17:00

 
13位でも、小さくガッツポーズ。神野大地の初マラソンは手応え満載。<Number Web> photograph by Kyodo News

3代目山の神、こと神野大地はマラソンでも順調にキャリアを積み重ねている。目指す東京五輪まではあと2年半だ。

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Kyodo News

「山の神」が初めての42.195kmを走る舞台に選んだのは、福岡国際マラソンだった。

 神野大地(コニカミノルタ)、2時間12分50秒の13位でゴール。

 走り切った後、ちょっとだけガッツポーズをしたのが神野らしいところだったが、ミックスゾーンにやってくるまでの数十メートルは、歩くのもやっとという状態だった。

 大学卒業後からマラソン挑戦を公言し、「自分は『フィジカル』で戦えることを証明したいんです」とトレーナーの中野ジェームズ修一氏とトレーニングを重ねてきた。

 今年2月に行われた丸亀ハーフでは、1時間1分4秒で走って日本人トップ。大迫傑(ナイキ・オレゴンプロジェクト)、設楽悠太(Honda)というふたりのエリートランナーにも先着。段階を踏みながら、初マラソンの日を迎えた。

鍛えていなかった大腿四頭筋が……。

 レースが始まると中間点では1時間3分23秒で先頭集団につき、想定通りの展開。しかし、そこからずるずると後退してしまった。その原因は、大腿四頭筋にあった。

「22kmあたりまでは、『あ、ぜんぜん行けるな』という感じだったんですが、23kmあたりから(大腿)四頭筋が張っちゃって。これまでトレーニングを続けてきたハムストリングや臀筋、腰回りの方は最後まで持久力もあったんですけど、四頭筋の方はトレーニングをやっていなかったので、そこに来ちゃいました」

 20kmからの神野の5kmごとのペースを振り返ってみる。

20~25km  15分33秒
25~30km  15分55秒
30~35km  16分18秒
35~40km  17分7秒
40km~ゴール 7分53秒

 走れば走るほど、ダメージが蓄積されていくような状態だったのだろう。

【次ページ】 快活な神野が顔を曇らせた11月のある日。

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