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豪州担当スカウトが見た大迫の価値。
「彼の1トップで日本は変わった」

posted2017/09/17 09:00

 
豪州担当スカウトが見た大迫の価値。「彼の1トップで日本は変わった」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

相手を背負ってボールを収める。シンプルだが日本人FWが最も不得手とする類のプレーを大迫は難なくこなしている。

text by

田村修一

田村修一Shuichi Tamura

PROFILE

photograph by

Asami Enomoto

 ロシアワールドカップ・アジア最終予選を通してオーストラリア代表のスカウティングを担当し、日本代表を観察し続けてきた今矢直城(37歳、早稲田ユナイテッド監督)。今矢が日本の攻撃の主軸と見なし、チームの進化の原動力と位置づけたのは、本田圭佑でも香川真司でも岡崎慎司でもなかった。また4試合連続得点と献身的な守備で、攻守にわたり新たな境地を示した原口元気でもなかった。

 それは昨年11月、サウジアラビアとの大一番を前に、ほぼ1年半ぶりに代表に招集された大迫勇也であった。

 それでは大迫は、ハリルジャパンにいったい何をもたらしたのか。都合3度、合計5時間以上に及ぶ今矢との議論から、オーストラリア戦の隠れたポイントに光を当てる。

<2017年8月21日>

――大迫のどこが素晴らしいのでしょうか?

「まず、日本が攻撃の際にボールをキープしたいのは、Z3のゾーン(オーストラリアはピッチを自分たちのフォワードラインより先の“Z1”、中盤とフォワードラインの間の“Z2”、中盤とディフェンスラインの間の“Z3”、ディフェンスラインとGKの間の“Z4”に分けて分析している)であるということです。大迫はこのゾーンを広げてくれる役割をしてくれる。だから背後を狙えるし、ボールをキープできる力もある。その強さがあるから、結果的に相手のラインは下がるしかなくて、トップ下の選手にプレーができるスペースが生まれる。(後ろにボールを)落としたときに時間ができるんです」

――これまでのフォワードにはそれができなかった。

「(後ろとの)距離が近かった。ファーストタッチで戻していたけど、大迫はファーストタッチがステイなんです。だから相手ディフェンスも、落としてもスペースがあるから出て来れない。ギリギリのところで勝負してくれるから、結果としてこのゾーンが空くし、しかもフリックもある。後ろの3枚の選手がそこに向けて自由になれる。僕の中では彼が今までで最高のフォワードです」

【次ページ】 数メートル、コンマ何秒か時間を作ってくれる。

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