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“巨人史上最強助っ人”の素顔。
ウォーレン・クロマティを読む。

posted2017/07/27 07:30

 
“巨人史上最強助っ人”の素顔。ウォーレン・クロマティを読む。<Number Web> photograph by Makoto Kenmisaki

名前を聞いたら誰でも思い出すであろう、あの人懐っこい笑顔――チューインガムも、その象徴だった。

text by

中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

PROFILE

photograph by

Makoto Kenmisaki

 プロ野球の外国人選手が好きだ。

 好きを通り越して、尊敬している。だって彼らは異国の地で文化も違えば言葉も通じない環境で仕事をするわけだから。

 ニッポンで己の腕一本で生き抜く男たち。蕎麦とお好み焼きとダウンタウンの番組が大好きで、日本語以外はほとんど喋れない自分には到底できそうもない。素直に「すげーな」と思ってしまう。

 当然、そのパセティックでロマンチックな野球人生は一冊の本になりやすい。ぶらり大型書店へ行くと野球本の棚には「助っ人本」ジャンルがあるくらいだ。

 そのほとんどが「高給に魅かれ1年だけプレーするつもりで来日」「初めての春季キャンプで日本野球の練習量に絶望」「外国人選手同士で語り合う六本木の夜」「ベースボールと野球の違い」「日本野球への適応術」「私の愛するニッポン」的な内容で、しっかり起承転結になっているし読み物として非常に面白い。

'80年代の日本にいて、彼の名前を知らない人はいない。

 あの元メジャーリーガーのジャック・エリオット(トム・セレック)が日本の中日ドラゴンズでプレーする様子を描いたハリウッド映画『ミスター・ベースボール』もだいたい似たようなプロットだ。

 4年前にワールドシリーズMVPを獲得した元スター選手ジャックの前年打率は2割3分5厘、ヤンキースでは若手の台頭もあって出番を失い、ある日突然に日本行きを告げられる。来日したジャックは空港で中日球団幹部とマスコミ陣の多さに驚き、どんなコメントも通訳が勝手に無難な日本語に訳して話す様子に呆れ、故・高倉健演ずる内山監督(星野仙一風キャラ)の厳しさに戸惑う。

 グラウンドに出れば口うるさいコーチがつきまとい“対ガイジン兵器”と名付けられたシュートボールが襲ってくる始末。「えらいとこにきちまったぞ」なんつってアメリカと比較したら異様に狭い部屋で、衛星放送のCNNニュースを眺める日々。

 ……と映画序盤の紹介で気付いた野球ファンもいるかもしれない。これはあの伝説の助っ人選手の自伝に非常に近い内容なのである。

【『さらばサムライ野球』(ウォーレン・クロマティ/ロバート・ホワイティング共著/松井みどり訳/講談社/1991年3月発行)】

 恐らく、'80年代の日本に住んでいたらクロマティを知らない人はほとんどいないのではないだろうか?

【次ページ】 巨人戦ナイター中継の視聴率が毎晩20%以上の時代。

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