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報知から読み解く巨人軍の不思議。
プチ鹿島6月のスポーツ新聞時評。 

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プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

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photograph byHideki Sugiyama

posted2017/06/30 17:00

報知から読み解く巨人軍の不思議。プチ鹿島6月のスポーツ新聞時評。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

一日一日着実に借金を返していくしかない……とコメントしている高橋監督。

「クルーズ使え」も「試合前のズレた訓示」も根は同じ。

 なぜグランドの選手たちに視聴率やチケット売り上げの話をするのだろう。

 選手にとって大事な試合前の時間に。

 この『日刊スポーツ』の記事を読んだら、選手育成だのスカウティングだのの前に、巨人を変えるにはもっと大事なことがある気がした。

「クルーズ使え」も「試合前のズレた訓示」も、根は同じなのである。

 当たり前のことを言うようだが、こういうことは“専門家”に任せたらどうか。

 そんな巨人の体質だが「現場」はアツかった。野球の現場ではなく「紙面」のことを言っている。

 6月7日の報知は11連敗を伝える紙面。「42年ぶり球団史上最悪」に並んだこの日、2面と3面では報知デスク3人と担当記者5人が顔出しでメッセージを送っていた。その名も「奮起せよ!! 巨人」。

推し新聞の真骨頂は「負けた試合の誌面」である。

「カラ元気でもいいから、楽しく白球を追ってほしいな」

「夜明けの来ない夜はないさ」

「自由奔放な采配をふるってほしいと思う」

「男・村田の一発が必要です。『村田弾で連敗脱出』そんな原稿を書かせてください!」

 などなど各記者のエール、いや、檄文が掲載されていた。

 そして報知の名物コラム「仙ペン」(仙道学編集委員)には、

《「球団史上最悪」の上書きも、現実味を帯びてきた今日この頃。復讐(ふくしゅう)するは我にあり。まずは自分たちの現状を受け入れよう。そして、そんな自分たちに中指を立てろ》

 と、まさしく過激な檄が!

 大型連敗という、ある意味で劇的な状況で叫ばれる記者たちのメッセージ。

 推し球団があるスポーツ新聞の真骨頂――「負けた試合の紙面」こそ読みごたえがあると思った次第です。

 以上、今月のスポーツ新聞時評でした。

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