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田中+キクマルは“毛利の三矢”だ。
カープ同学年の3人、兄弟的な関係。

posted2016/09/03 11:00

 
田中+キクマルは“毛利の三矢”だ。カープ同学年の3人、兄弟的な関係。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

お馴染みの「キクマル」だけでなく“タナキク”も1、2番&二遊間コンビとして攻守に躍動する。

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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Hideki Sugiyama

 戦国時代、安芸国から中国地方全域へと勢力を拡大させたと言われる武将・毛利元就は、3人の息子に「三矢の教え」を説いたといわれるが、今年の広島を支えるのは同学年による3本の矢。丸佳浩、菊池涼介、田中広輔の3選手が攻守に渡り、戦国セ・リーグを25年ぶりに制覇しようとしている。

 入団した順番に置き換えれば、丸が長男、菊池が次男、田中が三男ということになるか――。同学年ではあるが、それぞれに言われる性格がプレースタイルと多少重なっているような気がする。

イケイケの三男・田中、長男の責任感を背負う丸。

 ある程度、自由が許された1番を、三男・田中が務める。イケイケの性格だからか、1打席目の打率が1番高い。プレーボール直後の快音がチームを勢いづかせている。特に前半戦までは1回の先制攻撃が目立った。

 当然対戦相手のマークは厳しくなる。一時は打率が2割7分を切ることもあったが、出塁率は3割後半をキープ。リーグ最多の死球を受けても、決して逃げ腰にならない。徹底した内角攻めにも屈せず、基本線は真ん中から外角球狙い。その頑固さと負けん気の強さは、入団時から上の2人にもまれた三男ならではだろう。

 プロでの経験が最も長い長男・丸は、3番としてクリーンアップの一角を担う。田中が今季味わっている相手バッテリーの攻めの変化や徹底ぶり、結果が出ない日々は経験済み。特に昨季はシーズン通して苦しい時期を過ごしており、今季にかける思いは強い。3人の中では最もチームをけん引したい思いが強いかもしれない。

 昨季終了直後から不退転の覚悟で取り組んだ大胆な打撃フォーム改造が奏功し、田中とともに開幕から全試合先発出場を続ける。世代交代が進んだ打線の中で高い経験値を持つ。劇的なサヨナラ打でヒーローになるなど、勝負強い打撃でチームを鼓舞している。

【次ページ】 最も損な役回りは次男の菊池だが、打率は3割超え。

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