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未熟な連係、発揮されない個の能力。
U-23が直面する「主力との格差」。

posted2016/05/25 10:40

 
未熟な連係、発揮されない個の能力。U-23が直面する「主力との格差」。<Number Web> photograph by AFLO

今大会唯一のゴールを決めている浅野拓磨。彼を生かすためにも、コンパクトな布陣と縦に速い守備陣が必要なのだ。

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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 2連敗である。

 トゥーロン国際大会、日本はポルトガルに0-1で敗れ、2試合で勝ち点がゼロ。U-23日本代表として初の連敗を喫し、3位決定戦、決勝への進出はかなり難しくなった。

 日本は初戦のパラグアイ戦で岩波拓也と亀川諒史が負傷し、ポルトガル戦に7人もの選手を入れ替えて挑んだ。

 初戦のパラグアイは20歳以下が主力で、ポルトガルはU-20代表。下の年代に負けられない意地があったはずだし、何よりもグループリーグ突破のために負けられない試合だった。だがこの試合で見えてきたのは、ポルトガルとの個の力の差、そして出場メンバーと主力メンバーの差であり、最終予選チームとの差だった。

 ポルトガル戦は、強風だったので前半に「風上」を選択し、優位に立つプランだった。だが相手に風上を奪われたので、ロングボールを蹴ってセカンドボールを拾う戦術に変更した。ところが長いボールを蹴っても相手のセンターバックの高い壁に阻まれ、セカンドボールが拾えない。しかも蹴ることで最終ラインとトップとの間が開いてしまった。

 前半22分、その空いたバイタルエリアをポルトガルに使われ、ダイレクトで中央を割られて失点した。浮いたパスゆえにダイレクトで打ってこないだろうという日本の読みの裏をかき、巧みな連携と個の能力の違いを見せた一撃だった。

DFラインが低く、ボランチの位置が決まらない。

「僕がバイタルをしっかり締めておけば防げた失点だった」

 井手口陽介は猛省していたが、思い返してみると最終予選の時はライン設定が高く、常に全体をコンパクトにしていた。バイタルエリアがぽっかり空くことなどほとんどなかったのだ。その結果、攻撃から守備、守備から攻撃という展開が素早く切り替わり、リズムが良かった。

 ポルトガル戦の最終ラインの4人(ファン・ウェルメスケルケン際、三浦弦太、植田直通、三丸拡)は、岩波と亀川の負傷があり、今大会で初めてDFラインを組んだ。そのため連係面で難しさがあり、ライン設定も高くない。空いたバイタルエリアに対して、ボランチを下げてカバーするなどの対策を徹底できなかったことが失点の要因のひとつになっている。

【次ページ】 連係面だけではなく、個人の能力面も不満。

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