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未熟な連係、発揮されない個の能力。
U-23が直面する「主力との格差」。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2016/05/25 10:40

未熟な連係、発揮されない個の能力。U-23が直面する「主力との格差」。<Number Web> photograph by AFLO

今大会唯一のゴールを決めている浅野拓磨。彼を生かすためにも、コンパクトな布陣と縦に速い守備陣が必要なのだ。

連係面だけではなく、個人の能力面も不満。

 コンビネーションは簡単には熟成しないが、今大会は各選手にとってのサバイバルという側面もある。手倉森監督もそこで個をアピールすることを容認していたが、選手は自分の能力も十分には発揮できていない。

 たとえば後半、三丸の左サイドにボールが展開されることが増え、サイドからクロスを上げるシーンが何度もあった。だが、縦にいってシンプルにクロスを上げるだけ。これでは相手は恐くない。

 実際、ボックス内を締められ、クロスはポルトガルの高いセンターバックにクリアされていた。三丸自身がカットインするなど、外から中へ、あるいは中から外へと相手をゆさぶる動きがあればもっとチャンスを作れたはずだし、それができれば彼自身の評価も上がったはずだ。

 守備でも、たとえばファン・ウェルメスケルケン際は、パラグアイ戦でミスして失点した経験を活かし、パスに気を使うなど丁寧にプレーしていた。それでも絞り方は甘く、相手ボールにいくタイミングが遅かったり、緩かったりで三浦から指示を受けるシーンが多く、チームの守備にまだフィットできていない。攻撃面で違いを見せることもできず、ケガで参戦できていない室屋成、松原健、山中亮輔との違いを十分に見せ付けることができていない。

遠藤や原川との差が顕著になったボランチ陣。

 彼らだけではない。

 ボランチの大島僚太と井手口のコンビもなかなかボールを奪い切れず、最終予選の時のボランチのような、奪って縦パスで攻撃のスイッチを入れる形はほとんど見られなかった。遠藤や原川との差が顕著になり、主力の存在の大きさを改めて感じさせた形だ。彼らは、その差をこれからどう挽回していくのか。

 野津田岳人も「結果を残さないと生き残れない」と自覚しており、出場する1試合1試合の重みを理解してはいた。だがそれが逆にプレッシャーになっているのか、ポルトガル戦では2度の決定機を決めることができなかった。

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