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「自分を変えてプレーする必要が」
権田修一が語るSVホルン移籍の真相。 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byItaru Chiba

posted2016/02/10 11:50

「自分を変えてプレーする必要が」権田修一が語るSVホルン移籍の真相。<Number Web> photograph by Itaru Chiba

ロンドン五輪ではベスト4に貢献、'14年ブラジルW杯でも代表メンバーとして活躍した権田。今年1月からSVホルン所属。

「片目を隠したままセービングする練習」

「3部だと思って舐めたら終わりですね。日本人が持つイメージでここに来たら、絶対に痛い目にあう。みんな僕が当たり前のようにレギュラーで出場できると思っているかもしれない。もちろんここには代表選手を経験した人も少ないから、僕には責任もある。でも、他のチームメートのGK、普通にみんなレベルが高い。Jリーグなら正直どこでもプレーできる。そういうレベルの選手が、欧州なら3部にもいる。1部のオーストリア・ウィーンと練習試合した時に、後半から出てきた相手のGKがものすごく上手かった。でも、彼は3番手です。本当に果てしないほどにレベルの高い選手がいるということです。

 練習方法も、各クラブ本当に多彩みたいです。日本だとある程度固定されたメニューがある。例えば、ホルンではこの間は片目を隠したままセービングする練習をした。初めてでしたよ(笑)。視野が限定される分、その後両目でプレーしたらやりやすい感覚になれる。練習環境はもちろん日本より恵まれていない。昔の自分だったら『プロなのにこの環境じゃGK練習できないよ』と言っていたかもしれない。でも、ここにはそんなことを言う人はいない」

「新しいスポーツをやっている感じもする」

 実は権田は昨年12月、約1カ月間イタリアにいた。GKとしての自分を見つめ直すため、また一度燃え尽きた気持ちに火を灯すため、セリエAのチェゼーナの練習に参加していた。さらにその後はあのジャンルイジ・ブッフォンの恩師で、'14年に一度FC東京の臨時コーチとして来日したこともあるエルメス・フルゴーニの元に向かい、個人レッスンを受けていた。

 徐々にGKとしての自分を呼び覚ましていく。その時期があったからこそ、1月からのホルンのトレーニングを順調に行うことができていた。

「約半年間プレーしてこなかったけど、イタリアで良いトレーニングができたことが大きかった。だからホルンではコンディションの面でもう気にする必要はなかった。むしろ、すぐにここから新たに直面することに気を向けられました。

 一番おもしろいなと感じたところがあって。例えばクロスに対して飛び出す、飛び出さないという場面。そこの感覚が、日本にいた時とちょっと違うんですよ。なぜならば、サッカーが全然違うから。日本だったらこういう場面でこんなパスが出てくる、ここでクロスが入ってくるとか、そんな感覚がまるで通用しない。『え、そこからシュート打つんだ!』とか『そんな場面でパス出すんだ』とか、敵のプレーも予測外。なんか新しいスポーツをやっている感じもするんです。

 だから、かつての自分に戻していくよりも、新たなプレーを作っていくような感覚が大事だなと思う。でも今の自分のスタンスなら、新しいことに対して何も偏見もストレスも感じない。楽しんで作っていこうと思えます」

【次ページ】 本田「他国からのスカウトが目を光らせている」

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