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早稲田、8年ぶりの予選会でも4位。
相楽新監督が語る全日本大学駅伝。
posted2015/07/03 11:00
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Takeshi Nishimoto
6月20日に行われた全日本大学駅伝の予選会。昨年の全日本大学駅伝で早稲田は7位となり、8年ぶりに予選会に回った(全日本のシード権は6位まで)。
慶応義塾大学の日吉のグラウンドには、早稲田の「レジェンド」が顔をそろえていた。
いまはDeNAランニングクラブの総監督を務める瀬古利彦氏。
3月に早大の監督から退き、4月からは住友電工の指導に当たっている渡辺康幸前監督。
そして今季から、レジェンドたちが作ってきた栄光を引き継ぎ、競走部の長距離ブロックを預かるのは相楽豊新監督である。
相楽監督は福島・安積高から早大に1999年に入学し、1年時には箱根駅伝の5区、3年生の時には6区山下りを担当した経験を持つ。4年時には主将も務めたが、ケガのために出場することは叶わず、その年、早大は箱根で15位に沈んだ。
その後、低迷期に入った母校に対して「シード権を再び取るまでは」と、毎年必ず正月にはサポートに駆け付けたのが、指導者の道に入るきっかけとなった。
それが縁となり、2005年からはコーチに就任。2010年度の三冠達成では大きな役割を果たし、今年、渡辺監督からエンジのタスキを受けたわけである。
絶対的なエースか全体のレベルアップか。
全日本の予選会は、駅伝関係では監督としての初陣。
「トップ通過という期待もあったと思いますが、結果は4位。もちろん収穫もありましたが、一方で課題が浮き彫りにもなりました」
新監督は、そう冷静に振り返った。
全日本大学駅伝の予選会は、各大学から8名の選手が出場し、2人ずつ4組に分かれて9枠を争う。
早大は3組目が終わった時点でトップだったが、28分28秒台を出したキトニー(日大)、28分31秒84の自己ベストを出した潰滝大記(中央学院大)ら各校のエースが集う4組目で逆転された。
早大は4組目に高田康暉(4年/鹿児島・鹿児島実)と井戸浩貴(3年/兵庫・龍野)という経験豊富な上級生を投入し、井戸が29分20秒24で8位とうまくまとめたが、高田は序盤に積極的なレースを見せたものの、29分52秒48で28位に終わり、最終結果で中央学院大、日大、神奈川大に逆転されて4位通過となった。
このレースを終えて、相楽監督は今年のチームの課題が明確になったという。
「予選会が終わって選手たちに『優勝を狙うには、絶対的なエースが出てくるか、それとも全体的なレベルを上げるか、どちらかしかない』と話しました。収穫としては、この時期に部として緊張感を持ってレースに臨めたこと。一方で、レース前に緊張していた選手もいて、きちんと自分を見つめ直して欲しいですし、実力を養う夏に向けて、プラスになると思います」