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被災地とマラソンの不思議な関係。
ランナーは走った町を好きになる! 

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金哲彦

金哲彦Tetsuhiko Kin

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photograph byTetsuhiko Kin

posted2015/07/08 10:40

被災地とマラソンの不思議な関係。ランナーは走った町を好きになる!<Number Web> photograph by Tetsuhiko Kin

国立競技場から、「借りた」聖火台が石巻にはある。これもまた復興を目指す人々にとってシンボルの1つとなるのだろう。

 レギュラー出演しているNHK-BS1のランニング情報番組「ラン×スマ~街の風になれ~」のロケで先日、宮城県石巻市を訪れた。

 石巻市といえば、2011年3月11日に発生した未曾有の災害「東日本大震災」で大きな被害を受けた地域だ。あれから4年、大津波の被害で運行を停止していた仙石線(仙台から石巻をつなぐ鉄道)も今年から全線再開した。一見するといつもの生活を取り戻したように見える街だが、大震災の傷跡はそう簡単には癒えない。

 実は2011年、復興ボランティア活動のご縁で石巻には2度ほど訪れたことがある。津波が削り取った街並みと奪い取った3000人以上の尊い命。街のいたるところでは瓦礫が山高く積み上がり、そのすぐ側で途方にくれた人々が、倒壊した自宅の後片付けを淡々とこなしていた。テキパキではないが、かといって緩慢ではない。瓦礫に埋もれた家族の遺品や思い出の品々を、ひとつひとつ探るように黙々と作業をしていた。

 人は、耐え難い悲しみが重なり通常の感情を通りこすと、自然と無感情に見えるようになるのだろうか。あのとき接した人々の心の深さを思いだすたび、言葉では表現できないものがこみあげる。

2020年の聖火リレースタートを石巻に、という夢。

 そんな石巻を、マラソン大会で元気にしようというプロジェクトが動きはじめた。大震災からの“復興”という願いを大会名につけた「第1回いしのまき復興マラソン」である。

 大会関係者の話によると、震災前の2010年まで行われていた「石巻シーサイドマラソン(2010年は石巻ふれあいマラソン)」を復活させた形だという。しかし、従来のものとはコースも内容も大きく違う。たとえば種目は、子供が参加できる2キロから、5キロ、10キロ、ハーフマラソンまで多岐にわたる。参加者は総勢3000名ほど。小さくもないが大きすぎない、ちょうどいい規模の大会だ。

 話題のひとつは、改装工事中の国立競技場から、1964年の東京オリンピックで使用された聖火台を2020年のオリンピックまで石巻が借りていること。2020年の聖火リレースタートを石巻にしたいという夢もあるとのことだ。

【次ページ】 ランナーを応援するのは、楽しいことだ。

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