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ACL、敵地・韓国でまたも3点大勝!
柏とは対照的なG大阪の「らしさ」。 

text by

吉崎エイジーニョ

吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2015/05/21 11:30

ACL、敵地・韓国でまたも3点大勝!柏とは対照的なG大阪の「らしさ」。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

極めて難易度の高いボレーで1点目を、マーカー2人をドリブルで振り切ってからのニアへのシュートで3点目を決めた宇佐美貴史。1人で決められる男の存在が、守備の安定にも貢献している。

日本サッカーへの対策は「サイドアタックへの注意」。

 サイドアタック。

 ガンバの1点目と2点目はいずれも左サイドバック藤春がペナルティエリア付近まで侵入して上げたセンタリングから生まれたものだ。そこからチェ監督の自信は打ち砕かれた。

 ここにも実は、「日韓対決あるある」が含まれている。

 韓国のチームは日本サッカー全般について「サイドバック・アウトサイドの選手が韓国よりも高い位置で仕事をする」というイメージがある。筆者自身も意外に感じるところだ。「サイドアタックといえば韓国の得意分野」というイメージがあるが、韓国側は日本のこれに想像以上に神経質になっている。

 韓国のサイドバックもクロスを上げて攻撃に参加する。しかし日本はより攻撃の一員として、時にペナルティエリアにまで侵入して仕事をすることも多い。これは韓国ではあまり見られないこと。だから警戒すべき、という考えだ。

 余談になるが、'12年大会で優勝したウルサンの当時の監督キム・ホゴンも度々「Jリーグのチームはサイドアタックこそ注意しなければならない」と口にしていた。キムは'04年のアテネ五輪韓国代表監督も務めた。当時、日本五輪代表だった石川直宏(東京)をとにかくべた褒めしていた。山本昌邦率いるチームは主に3-5-2を採用し、石川は右アウトサイドでプレーしていたが、「彼をサイドバックで使ったらすごくいいサッカーができる。韓国に欲しいくらい」とすら言っていた。

 このサイドの攻防にガンバは打ち勝った。これも3-1の大勝の要因のひとつだった。

 では、ガンバはなぜサイドで勝利できたのか。なにせ冒頭に書いたとおり、3月には昨年のKリーグ下位クラブに惨敗を喫していたのだ。

 何か、ACL対策を立てたのか。

再び口にされた「ACL対策は何もしていません」だが……。

 試合後の長谷川健太監督に聞いてみた。こんな答えが返ってきた。

「ACL対策は何もしていません」

「シンプルにあの頃よりもコンディション、コンビネーションがよくなったということです」

 率直なところ期待した回答ではなかった。しかしそこから続いた言葉がかなり興味深いものだった。

「3月の城南戦で苦い、痛い思いをして、選手がそこからアジアの厳しさを学んだことが非常に大きかったと思います」

 監督が強調せずとも、選手がJリーグとの違いを自ら感じ取ったのだという。

 さらに韓国メディアから「フィジカルの強い韓国チームにどう対峙するのか」という質問が飛んだ際には、長谷川はこう答えた。

「Jリーグの指導者も最近はとくにフィジカルへの意識を高めている。強くしていこうという意識はあります。ただ現状ではその強さが韓国ほどまでには至っていないから、こちらは『技術で対抗する』という構図になっている。そういう面もあると思います」

 変化、成長も必要だが、自分たちの軸は大きく変えることはない。そんな姿勢がうかがえた。

【次ページ】 “変わっていく柏”と“変わらないガンバ”の哲学。

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