SCORE CARDBACK NUMBER

“ストイック”播戸竜二、3年ぶりの先発とゴール。
~黄金世代の元気印、錆びぬ嗅覚~ 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2015/05/23 10:30

“ストイック”播戸竜二、3年ぶりの先発とゴール。~黄金世代の元気印、錆びぬ嗅覚~<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

 エネルギッシュな男の、エネルギッシュな一発だった。

 播戸竜二、35歳――。

 今季、サガン鳥栖からJ2の大宮アルディージャに移籍したベテランはゴールデンウイーク最終日のギラヴァンツ北九州戦で初先発。前半、ゴール前の競り合いに勝って左サイドからのクロスを頭で押し込んだ。両手を震わせながら目いっぱい真横に広げ、全身で喜びを表現するのも熱い彼ならでは、だ。

 リーグ戦のゴールとなるとセレッソ大阪時代の2012年7月28日以来、約3年ぶり。さらに言えばカップ戦を含む先発自体が'12年8月4日以来だったのだ。

 大宮でもベンチスタートが続き、起用されないまま終えることも少なくなかった。明るいキャラクターで知られる彼だが、そこには知られざる葛藤があった。

「ここ2、3年というのはメンバーに入っても試合に出られへんことが増えてきた。ベンチにいるってことは必要とされているからなんでしょうけど、出られへんというのはホンマのところでは必要とされてないんちゃうかという思いもありましたよ。試合に出るためにはやっぱり信頼を一つひとつ積み上げていくしかないし、やり続けていくしかない。でも毎日の練習の先に毎週の試合があって、そこで出られへんとなると“自分はもうアカンのかな”って思ったこともあります」

「1点取っただけでホッとしていると、終わってしまう」

 日々のトレーニングに全力で取り組むのはもちろんのこと、「試合に出ていないと(筋肉の)耐久性も弱まってしまう」と黙々と「重くならず、強さをつける」筋トレにも励んだ。体のケアに人一倍気を遣い、お呼びが掛かればいつでもいける状態にしてきた。「試合に出たら結果を出せる」と自分を奮い立たせてもきた。3年ぶりの先発で“一発回答”できたのも、葛藤に打ち克ち、ピッチ内外で「やり続けてきた」からに他ならない。

 ザスパクサツ群馬戦(5月9日)の翌日に大宮のクラブハウスを訪ねると、練習後に筋トレに向かおうとする彼がいた。

「1ゴール取っただけでホッとなんかしていると終わってしまう。フォワードとして常に点を取っていかないと、老いが来たなって思われてしまいますから(笑)」

 3年の辛苦と変わらぬストイックが、ベテラン播戸竜二のエネルギッシュなプレーに、より迫力をもたらしている。

関連コラム

関連キーワード
播戸竜二
大宮アルディージャ

ページトップ