JリーグPRESSBACK NUMBER
“昨年の悪夢”がよぎったが……。
ガンバ大阪、J2開幕戦ドローの意味。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/03/04 12:30
J2開幕戦、京都サンガと引き分け、肩を落として引きあげる(右から)遠藤保仁、今野泰幸、二川孝広らガンバ大阪の選手たち。
「この勝ち点1がきっと後に効いてくる」
初戦を終え、J2のステージは、決して甘くないということが改めて分かった。
ガンバにとって、J2の相手がどんな戦術で来るのか、どんな特徴を持った選手がいるのか、情報は少ない。すべて初めて経験することが多い中で、ゲームを戦い、勝ち点を獲得していかなければならない。逆に相手は、ガンバの選手のことをよく知っており、京都のように捨て身で倒そうと挑んでくる。こういう相手に勝っていくのは、想像以上にタフなことだ。
家長は、厳しい表情で語る。
「僕らは、最初からやすやすとJ2を独走できるとは思っていない。京都のような戦いをしてくると簡単には勝てないですし、相手を知らない中で戦う難しさとも向き合っていかないといけない。そのためには主導権を握れる展開にしていかないといけないですし、もっとチーム力を上げていかないといけない」
勝てなかった。
だが、負けなかった。
粘り強さを発揮して、勝ち点1を獲得できたことは、今後J2を戦う上で選手に何らかのヒントと自信を与えたことだろう。
選手たちを乗せたバスが去り暗くなったスタジアムで、クラブ関係者はこう呟いた。
「この勝ち点1がきっと後に効いてくる。負けんで良かったです」
それは、昨年の悪夢を経験した者にしか分からない、この1試合の意味を表す言葉だった。