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“昨年の悪夢”がよぎったが……。
ガンバ大阪、J2開幕戦ドローの意味。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/03/04 12:30
J2開幕戦、京都サンガと引き分け、肩を落として引きあげる(右から)遠藤保仁、今野泰幸、二川孝広らガンバ大阪の選手たち。
昨年破たんした守備網は、まだ構築段階であることが露呈。
まだ1試合だが、このJ2開幕戦、色々なものが見えた。
まず昨年65失点と破綻していた守備網。キャンプでは高い位置でのボール奪取、セットプレーからの失点対策、カウンター対策、攻守の切り替えの早さなどに取り組んできた。だがこの試合では、それらがほとんど見られなかった。
セットプレーから失点し、相手のプレスに押し込まれ、昨年同様に中盤でミスしてカウンターを食らった。特に、3失点目は攻撃に転じようとした際にボールを奪われ、カウンターを食らうという昨年、よく見られた失点パターンのひとつだった。その修正をキャンプで時間をかけてやってきたはずだが、この3失点目で守備はまだ構築段階であることを露呈した。
攻撃も、3点を取りはしたが、なかなかシュートで終わることが出来なかった。京都の13本に対してガンバは7本に終わった。サイドから攻める場面は作ったが、ラストパスや崩しの部分でのプレーに精度を欠き、レアンドロの動きも重そうで本調子には程遠かった。
「負けずに勝ち点1をとれたことは、前向きに考えていい」(遠藤)
課題がたくさん見えたなかで、“これから”を感じさせるシーンもあった。先発した阿部が遠藤からポジショニングなどの修正をアドバイスされ、その直後に遠藤からのパスでゴールを決めた。2年目の阿部のスタメン起用にメドが立ったことは大きい。
また、後半ロスタイムに2-3と逆転された後の粘りも凄かった。昨年までのガンバならそのまま終わり、勝ち点を失っていただろう。だが、今年は最後まで諦めない姿勢を見せ、がむしゃらに攻めた。その結果、PKが与えられ、勝ち点1を獲得できたのである。
「こうして勝ち点を積み重ねていくことが昨年は出来なかったんで……。最後、負けずに勝ち点1をとれたことは、前向きに考えていいと思います」
遠藤は、そう言った。