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監督対選手のトレードで
ギーエンがマーリンズへ。
~“good for Baseball”の意味~ 

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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photograph byYukihito Taguchi

posted2011/10/23 08:00

監督対選手のトレードでギーエンがマーリンズへ。~“good for Baseball”の意味~<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 今季まで8年間、ホワイトソックスを率いたオジー・ギーエンが、公式戦終了直前に退団し、来季からマーリンズの監督に就任することが決まった。来春の新球場オープンと「マイアミ・マーリンズ」への名称変更を機に、同監督の招聘は以前からウワサになっていた。ラテン系住民が多いマイアミ地区で心機一転を期すチームにとって、ベネズエラ出身のギーエンは適材と言われてきたからだ。今回の「異動」が珍しいのは、マーリンズの若手有望選手2人がホワイトソックスに移籍する交換トレードとして実現した点である。ギーエンは「自分の人生の大きなステップ。新しいページで勝つために尽くしたい」と言うが、'05年にワールドシリーズを制したほどの監督がトレード移籍するという感覚は、いかにも米国らしい。

 もっとも、現役監督の移籍は、今回が初めてではない。'02年には、当時マリナーズの監督だったルー・ピネラが、デビルレイズ(現レイズ)の監督に就任し、レイズからは2選手が移籍した。「病床の実父のそばにいたい」というピネラの希望をマリナーズ側が了承。自宅のあるタンパへの移籍を、トレードという形で円満に解決させた。

米球界で頻繁に用いられるフレーズ、“good for Baseball”。

 いずれの場合も、一般的な選手のトレードとは単純に比較できない。監督を招聘する側は、相手球団に対して事前に許可を得て交渉に入ることが大前提で、極秘に話を進めることはタブーと言われる。フロント首脳のヘッドハンティングやコーチ陣との折衝にしても、事前了承がエチケットとされており、こそこそした「引き抜き」の感覚はない。

 ギーエン、ピネラ両監督の場合、旧球団側がそれぞれ本人の意思を最大限に尊重した結果で、その根本に損得勘定はない。ただ、チーム全体やファンが納得するために、監督を「譲渡」する代わりに、有力選手を交換で獲得するビジネスとして成立させた。

「good for Baseball」

 米球界で頻繁に用いられるフレーズで、今回のギーエン移籍の際にも使われた。その言葉の意味は「野球界にとって良いこと」。各球団がチームの補強を進めるのは当然だが、同時に球界全体の発展をも考えるスタンスは、米国球界の懐の深さでもある。

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