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日本一は楽天に決まり!?
「第三の男の法則」に注目せよ。 

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田端到

田端到Itaru Tabata

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2009/10/13 13:00

日本一は楽天に決まり!? 「第三の男の法則」に注目せよ。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 2009年のレギュラーシーズンもすべて終了。クライマックスシリーズから日本シリーズへと向かう戦いを残すのみとなった。

 短期決戦を勝ち抜くのに、必要なものは何か。日本一の行方を占う、面白いデータを紹介しよう。名付けて「第三の男の法則」だ。

 まずはチームの中で勝利数トップ3の投手を並べる。例えば今年の巨人なら、ゴンザレス15勝、グライシンガー13勝、高橋尚10勝。この場合、勝利数3位の高橋尚が「第三の男」に該当し、この勝ち星の数がきわめて重要となる。

日本シリーズで勝つためには“投”の三本柱が必要。

 日本シリーズは、大エースひとりの力では勝てない。二本柱がいても、まだ足りない。3番手の投手こそがカギを握り、その勝ち星の多いほうのチームが日本一の栄冠を手にする確率が高いのだ。

 なつかしい記憶を掘り起こしながら、90年代を振り返ってみよう。

 '94年、セ・リーグ優勝は巨人。トップ3投手は、桑田14勝、斎藤14勝、槙原12勝。同年、パ・リーグ優勝は西武。郭13勝、工藤11勝、新谷10勝。第三の男の勝ち星は巨人が上回り、日本シリーズも巨人が4勝2敗で制した。

 '96年、セ優勝は巨人。斎藤16勝、ガルベス16勝、木田7勝。同年、パ優勝はオリックス。星野13勝、フレーザー10勝、野田と小林宏8勝。巨人には二本柱がいたが、第三の男はオリックスが上回り、日本シリーズもオリックスが4勝1敗で制した。

驚異の的中率を誇る「第三の男の法則」だが……。

 このようにして見ていくと、'91年から'00年までの10年間で、第三の男の勝ち星が上回ったチームは、日本シリーズで8勝0敗、なんと勝率100パーセント! あとの2回は第三の男の勝ち星が同数だった。

 日本シリーズの時期になると多くの解説者が勝敗の予測をするが、難しく考える必要はない。チーム内で勝利数3位の投手の勝ち星を比べるだけで、あら不思議、日本一のチームは簡単に予測できるのである。

 ただしこれは、3番手の投手が現実に日本シリーズで活躍したかどうかの話ではない。3番手の投手の勝利数が、そのチームの投手力の厚みを象徴していて、それがシリーズの結果につながっているということだろう。

 しかし、この法則には欠陥もある。第三の男の勝ち星がセとパで同数の年は、使えないのだ。

 '01年以降はなぜか同数のケースが頻出。昨年までの8年間で同数が5回。第三の男の勝ち星が上回ったチームは3例しかなく、日本シリーズでは2勝1敗だった。

 '06年のセ優勝は中日。川上17勝、朝倉13勝、山本昌11勝。同年、パ優勝は日本ハム。ダルビッシュ12勝、八木12勝、金村9勝。

 第三の男が上回ったのは中日だったが、シリーズは日本ハムの4勝1敗。'91年以降の18年間で、これが唯一、法則に該当しなかった例外の年である。

【次ページ】 今年のクライマックスシリーズの6チームを比較すると?

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