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勝利に匹敵する感動。中野真矢の3位表彰台。 

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2004/10/07 00:00

 レースを終えた中野真矢が、「表彰台に立ったなんて夢のようだ」と語った。その夢を、現実に目の前で見せられたファンもまた、確かに、信じられないような気分だった。9月19日、ツインリンクもてぎで行われたWGP第12戦日本GP。勝ったのは、予選でポールポジションを獲り、優勝候補の筆頭に挙げられた玉田誠だった。しかし、中野の表彰台は、期待こそすれ誰も予想していなかっただけに、日本のファンに玉田の優勝に匹敵する大きな感動を与えた。

 中野にとってはMotoGPで初めて。20年という長いブランクからGPに復帰して3年目を迎えるカワサキにとっては、実に23年ぶりの表彰台だった。

 中野は今季、ヤマハからカワサキに移籍した。ホンダで3年連続チャンピオンを獲ってヤマハへ移籍したV・ロッシ同様、今年はビッグチャレンジのシーズンだった。そして、ロッシがヤマハを復活させたように、中野もまた、長いブランクでどん底にいたカワサキを着実に前進させていた。

 予選では11戦中6戦でトップ10入りするまでになった。しかし、決勝では7位が最高位。ホンダとヤマハが表彰台を独占する後方で、カワサキはドゥカティ、スズキ勢と厳しい戦いを繰り広げてきた。

 中野はそのカワサキで3位に入賞した。スタート直後に6台のマシンが転倒する多重クラッシュがあり、表彰台を狙える選手たちが次々にリタイアしたという運もあるが、この日の走りは表彰台に相応しいものだった。ヤマハのM・メランドリを抜き、追いすがるホンダのA・バロスを抑えた。レースが終わってみれば、去年の覇者、ホンダのM・ビアッジの決勝タイムを1秒更新する快走だった。

 ヘルメットを取った中野は、「表彰台の上で、移籍のことや、これまでのいろんなことが思い出された。そして、中野コールが、すごく嬉しかった」と目を潤ませた。今季の目標は表彰台に立つことだった。最強を誇るホンダと、打倒ホンダに燃えるヤマハの戦いの中に入っていくことが、どんなに険しい道なのか知らない者はいない。しかし、中野は、ホンダの玉田、ヤマハのロッシと並んで表彰台に立った。そこで巻き起こった“中野コール”。それは、夢を実現させた者への、ファンからの最高の祝福だったのかもしれない。

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