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ビッグチャレンジ結実。ロッシ4年連続の王者に。 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

PROFILE

posted2004/11/04 00:00

 終わってみれば、ただただ、V・ロッシの凄さを痛感させられるMotoGPの1年だった。

 今年ロッシは、過去10年で9回タイトルを獲得しているホンダを離れ、11年間タイトルから遠ざかっているヤマハへ移籍した。ロッシ自身、それを「ビッグチャレンジ」と語ったが、無謀な挑戦だと感じる者も多かった。しかし、移籍後初レースとなった南アフリカGPを鮮烈なデビューウィンで飾り、中盤戦には3連勝して主導権を握った。後半戦は着実に表彰台に立ち、第15戦豪州GPで8勝目を達成、見事タイトルを獲得した。

 豪州GPは、2位になればチャンピオン決定という状況のなか、タイトルを争うホンダのS・ジベルノーとのマッチレースになった。「今回は優勝よりもチャンピオンになることを目標にしたい」と語っていたが、相手がジベルノーとなれば、自分の速さを見せつけることにこだわった。マシンにアドバンテージはなかったが、それをものともしない戦いぶりは、さすがと唸らせるものだった。

 天才と呼ぶに相応しいセンスは、ホンダ時代に証明している。しかし、バイクにアドバンテージがあっただけに、なかなか100%の走りを見せることはなかった。故に、移籍した今年は、発展途上のマシンでどんな走りをするかに大きな注目が集まった。そして彼の実力は、予想をはるかに上回っていた。

 今年は常に100%の走りを強いられた。相手はジベルノーを筆頭に総合7位までを占めるホンダ勢。孤軍奮闘だった。それだけに嬉しかったのだろう。チャンピオンを決めてマシンを降りたときには目に涙を浮かべ、「今年は、最高のライディングをした。ベストなシーズン」と語った。12年ぶりにタイトルを奪還したヤマハのスタッフも、「全力を尽くした。彼が乗ると決まったときに勝つのが使命になりましたからね」と安堵の表情を浮かべた。同時に、「彼を敵に回したら勝てないということをあらためて感じた。ホンダやドゥカティに比べると、まだ、うちのマシンには武器がない。今年はそれを彼の腕が補ってくれた」とロッシの走りを絶賛した。

 その言葉は、バイクのレースが、まだまだ人間のスポーツであるということを教えてくれた。それほどまでに、ロッシの力が突出していることを証明したシーズンだった。

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