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勝ち方を知り尽くしたロッシの
潔い“負け方”。 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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posted2004/09/09 00:00

 シーズン後半戦の最初のレースとなったチェコGPは、チャンピオン争いをする3選手が表彰台に立った。勝ったのはS・ジベルノーで、ポイントリーダーのV・ロッシとの差を詰めることに成功した。ロッシとジベルノーの差は、22点から17点へ。一方、3位に終わったM・ビアッジは、22点差から26点差へと広がった。

 レースは、ホンダ勢4人とヤマハのロッシの戦いとなった。その中から、A・バロス、N・ヘイデンが転倒で脱落するという厳しい戦いとなり、終盤、ロッシの追撃を振り切るためにペースを上げたジベルノーが優勝した。

 ここで勝てば、チャンピオン争いは、ロッシ断然有利になると言われていた。ロッシは、最高峰クラスで昨年まで3連覇を達成。125ccと250ccでもチャンピオンになっている。それだけに、今回の2位は、長いシーズンの戦い方を知り尽くしているロッシならではの“負け方”だったと言える。

 今大会は、ホンダ勢が優位に立っていた。PPからスタートしたジベルノーが、予想どおり前に出て逃げた。ロッシは必死の追撃を試みたが、勝つのが難しいと判断した後半、それまでのリスクのある走りから安全策へと素早く切り替えた。チャンピオンを獲るために、深追いせず、被害を最小に抑える。そのいさぎよい“優勝戦線”からの身の引き方は、ライバルを歯軋(はぎし)りさせるほどだった。

 シーズンは残り6戦。この先は一進一退のレースが続く。ライバルが先行すれば追う、チャンスがあれば逃げる、という自転車のロードレース的な戦い方が要求される。これは実力がなければ出来ない。ヤマハも進化してはいるが、総合力では依然としてホンダ優位。その中で孤軍奮闘しながらも、常にレースの主導権を握ろうとするロッシの走りは、“天才”の評価にふさわしいものだ。

 一方、チャンピオンマシンに乗るジベルノーは、これまでタイトル獲得の経験がない。ビアッジは250ccで4回チャンピオンになっているが、マシンのセッティングが決まらないと低迷するというウィークポイントを抱えている。総合力では、だれひとりとして大きなアドバンテージはない。チェコGPで表彰台に立った3人の中でだれがチャンピオンに輝くのか。ここから先は、言い尽くされた言葉だが、“精神力”の戦いになりそうだ。

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