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【動画】「佐藤龍月のTJ手術はみんな納得した」健大高崎の名参謀・生方啓介が語る“投手王国”を作れた理由…「青栁監督は政治家です」の真意とは?《インタビュー特集②》

2025/08/10
 令和になって高校野球が大きく変わってきた。その象徴が、投手分業制を敷いた仙台育英や、坊主ではない球児たちが躍動した慶応の甲子園制覇だろう。ただ、変化しているのは彼らばかりではない。NumberPREMIERの動画インタビューによる新連載「高校野球 シン・組織論」では、日本の高校野球を変革していこうとするチームを徹底取材していく。
 シリーズ2回目に登場するのは、この15年で急速に存在感を増してきた健大高崎高校だ。青栁博文監督と二人三脚でチームを全国的な強豪にした生方啓介部長に話を聞いた。青栁博文監督の動画インタビューは公開中。近日中にキャプテンの加藤大成選手、小谷魁星コーチの動画も公開します》

 青栁博文とタッグを組んでから、ちょうど20年が経つ。健大高崎が強豪と呼ばれるまでの軌跡を知る生方啓介部長は、青栁監督との指導体制に、こう矜持をのぞかせる。

「監督がこういう野球をしたい、こういう組織にしたいという意向と私の考えが一致しているので。そこがしっかりしていれば、あまりチームはブレないんじゃないかと思います」

 チームにおける生方の役割はヘッドコーチだ。練習では全体を統括するが、とりわけピッチャーには目を配る。その背景にあるのは、自身のキャリアが大きく関係している。

 生方はピッチャーだった小学生時代に右ひじを故障し、野手に転向した。沼田高校3年時の1999年夏には外野手として甲子園まであと一歩に迫る準優勝と実績を作ったが、東北福祉大進学後に右ひじ痛が再発。プレーヤーを諦め、学生コーチとなった。この頃から指導者を志すことも頭の片隅にあったが、生方は「理学療法士となり、東北福祉大でトレーナーをする」ことを望んでいたという。

生方啓介部長 photograph by Takuya Sugiyama
生方啓介部長 photograph by Takuya Sugiyama

 運命の歯車が動き出したのは2005年。大学の同級生を介し、青栁から「健大高崎で指導者をやらないか?」と誘われた。

「高校で指導者になるのなら、『転勤がない私立で』と思っていたんです。そうしたら、たまたま。すごい縁ですよね」

 青栁とともに追い始めた、甲子園という夢。人をしっかりと観察し、接する監督とはウマが合い、自らも積極的に学ぶようになった。

 理学療法士を目指していただけに、選手のパフォーマンス向上に対しては並々ならぬ学習意欲がある。健大高崎が「機動破壊」で知名度を上げていた2017年に、イチローが練習に取り入れていることで知られる「初動負荷トレーニング」を導入。3年ほど前には、プロ野球選手からの信頼も厚い北川雄介トレーナーとの連携体制を確立した。150キロを超えるストレートを誇る石垣元気、安定感抜群の下重賢慎、そして昨年のセンバツ優勝時のエースである佐藤龍月。2025年のチームが「投手王国」と評されたのは、生方が育成環境を丹念に整えていったことの賜物だろう。

青栁監督との二人三脚は20年近くになった
青栁監督との二人三脚は20年近くになった

 なにより生方は、自身の苦い経験から選手の身体には誰よりも気を配っている。昨年のセンバツ後に左ひじのトミー・ジョン手術を行った佐藤の歩みがまさにそうだ。保存治療やリハビリで〝延命〟させる高校生が多いなか、生方は青栁と本人、その家族と相談したうえで手術を決断させた。

「佐藤龍月の場合は高校がゴールではなかった。『プロに行きたい』という目標設定があったので、みんながこのタイミングで手術をすることに納得しました」

 トミー・ジョン手術を行うと、実戦復帰までに1年から1年半もの時間を費やすと言われている。そして、その間は地道なリハビリ生活が続く。そこで生方は、はやる気持ちを抱く佐藤に「とにかく焦るな」と諭し続けるなど〝ストッパー〟としての役割を担った。

 ふたりや周囲の我慢もあり、佐藤は野手として今年のセンバツで復帰を果たし、6月には実戦マウンドに立つこともできた。

「本当ならもう少し復帰が遅いところでしたが、驚異的な治りを見せてくれて」

トミー・ジョン手術を乗り越えた佐藤龍月
トミー・ジョン手術を乗り越えた佐藤龍月

 選手とともに歩み、学ぶ生方は「昔は兄貴みたいな感じでしたけど、今は距離を取らないといけないと思っています」と笑う。

 44歳となった部長が心掛けるその距離感が、いまの強き健大高崎を生んでいる。

生方部長が青栁監督は「政治家です」と語る理由

 動画では以下のような話題について語っています。

  • 「投手陣3本柱」に促した競争の中身とは?
  • 求めるものは「エースの品格」
  • 佐藤龍月のTJ手術前、手術後のサポート体制
  • 復帰を果たした佐藤への"本音"とは?
  • ケガがきっかけで「左投右打」に
  • 部長から見た青栁監督は「政治家」。その真意は?
  • 県内の野球のレベルを高める責任
  • 指導者として「外部コーチに学ぶこと」

 20年にわたり青柳監督を支える、健大高崎の名参謀。話題の「投手王国」ができるまでの秘話など、ヘッドコーチがチーム育成の舞台裏を語ります。32分間の動画インタビューを是非ご覧ください。

※動画配信画面は、NumberPREMIERにご入会いただき、ログインすると本ページ上部に表示されます。

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photograph by Takuya Sugiyama

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