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【動画】「全国から『来たい』と思われる学校に」健大高崎・青栁博文監督が考える“強い組織”とスカウティング哲学「石垣元気との出会いは…」《インタビュー特集①》

2025/08/09
 令和になって高校野球が大きく変わってきた。その象徴が、投手分業制を敷いた仙台育英や、坊主ではない球児たちが躍動した慶応の甲子園制覇だろう。ただ、変化しているのは彼らばかりではない。NumberPREMIERの動画インタビューによる新連載「高校野球 シン・組織論」では、日本の高校野球を変革していこうとするチームを徹底取材していく。
 シリーズ2回目に登場するのは、この15年で急速に存在感を増してきた健大高崎高校だ。独自の方法論で、チームを「組織」として発展させてきた青栁博文監督に話を聞いた。《近日中に、キャプテンの加藤大成選手、監督とともにチームを指導する生方啓介部長、小谷魁星コーチ選手の動画インタビューも公開します》

 健大高崎を率いる青栁博文は、「監督」よりも「社長」という肩書が板につく。それは、チームを運営するうえで何よりマネジメントを重要視しているからだ。

 青栁の組織論を聞けば、それがわかる。

「いい会社というのは、本当に組織がしっかりしていますからね。そういう面で健大野球部も、永久に繁栄できるというか、常に強い組織であり続けられるようにしたいです」

 組織を重んじる考えは、自身が監督になるまでのキャリアがもたらしたものだ。東北福祉大を卒業後に会社員を経験したことによって、「優れた社長がいる企業というのは、いい管理職、いい社員と、下がしっかり育つものだ」と学んだのだという。

 会社員として働きながらも「高校野球の指導者になる」という夢を持ち続けていた青栁。それが実現したのは、前橋商時代の恩師・東野威からの紹介がきっかけだった。健大高崎が2001年に共学となり、翌年に野球同好会から正式に野球部となるタイミングで、青栁に白羽の矢が立ったのだ。

20年以上チームを率いる青栁監督 photograph by Takuya Sugiyama
20年以上チームを率いる青栁監督 photograph by Takuya Sugiyama

 同好会上がりの弱小チームの監督を引き受けた若き青栁は、まだ青臭かった。多くの青年監督がそうであるように、「まずは普通の野球部にする」ため、厳しく指導する。ところが、その環境に不満を抱いた選手が次々に辞めていったことで、改めて組織づくりの重要性に気づかされた。

 青栁は野球と組織づくりの根幹を学ぶために、明徳義塾などの強豪校へと足を運び、見識を広げていった。部長としてコンビを組む生方啓介ら指導者が増え、各選手に目を配れる体制が整った2011年。監督就任10年目の節目の夏に、健大高崎は悲願の甲子園出場を果たしたのである。

 原動力となった走塁にさらに磨きをかけ、翌2012年のセンバツではベスト4進出。健大高崎は全国にインパクトを残した。そして、チームが旗印に掲げる「機動破壊」が全国的に注目を集める。

「チームを大きくするために、『まずは走塁かな』ということで。走塁を駆使して勝ち上がれたことで名前を覚えてもらいました」

グラウンドに掲げられたフラッグ photograph by Takuya Sugiyama
グラウンドに掲げられたフラッグ photograph by Takuya Sugiyama

 当時の健大高崎には、まだ地元の群馬県出身者が多くを占めていた。そこから徐々に県外選手が増えはじめたことで、周囲からは批判の声も届いたという。実はここにも、青栁のマネジメントの深謀遠慮が込められている。

「まず、勝ったほうが絶対に応援されるんです。そして、高校生のうちから日本中の人と知り合うことで、人脈が広がったりといろんな関係性が築けるんですね。だから、組織を運営する以上は、全国から『来たい』と思ってもらえる学校にしたいんです」

ドラフト候補・石垣元気との偶然の出会い

 北は北海道、南は九州。健大高崎は全国の「金の卵」発掘に余念がない。

 そのひとりが石垣元気だ。北海道出身の原石と出会ったのは、いわば偶然だった。健大高崎が沖縄でキャンプを行っている期間中に久米島で中学生の大会があり、注視してきた下重賢慎の視察に行った。その試合でたまたま登板した石垣に、青栁は豊かな将来性を感じたという。

ドラフト候補とも言われる石垣元気
ドラフト候補とも言われる石垣元気

 健大高崎へと進学したこの青年は、持ち味であるストレートの最速を150キロ以上へと伸ばし、昨年のセンバツ優勝に貢献した。そして今年、石垣と下重に加え、右ひじのトミー・ジョン手術から復帰を果たした佐藤龍月を中心とした投手陣は、歴代の健大高崎でも「最強」との呼び声が高い。

 コーチや外部スタッフを含め8人の指導者を監督の青柳が束ねる。それぞれが責任を果たしながら選手と向き合うことで、石垣のような大器も伸び伸びと力を育む。醸成された環境。青栁が自信を覗かせる。

「やっぱり組織で野球をしないと、選手は満足感を得られませんからね」

 健大高崎は今や「全国屈指の強豪」と呼ばれるチームとなった。

組織作りの手本となった大企業とは?

 動画では以下のような話題について語っています。

  • "2つの道"を諦めてサラリーマンに
  • お世話になった"ある監督"の存在
  • 全国から選手を受け入れる狙いは?
  • 「機動破壊」誕生秘話
  • 石垣元気選手との出会い
  • 健大高崎で伸びる選手の特徴
  • 投手スカウティングのポイント
  • 組織作りの手本となった大企業とは?

 センバツでは昨年に初優勝を成し遂げ、今年もベスト4。健大高崎を強いチームへと育てた青柳監督が語る組織論とは? 約30分間の動画インタビューを是非ご覧ください。

※動画配信画面は、NumberPREMIERにご入会いただき、ログインすると本ページ上部に表示されます。

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photograph by Takuya Sugiyama

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