10月13日のW杯1次予選オマーン戦では、日本代表の成熟した試合運びが際立った。高い位置からの積極的な守備とスピーディーなカウンターを持ち味とする相手に対し、アウェーで「引き分け以上」という条件を満たして試合を終わらせるために何をすべきか。選手の一人ひとりが、それを十二分に理解し、実践できていた。
とりわけ、中村俊輔のゲームコントロールは見事という一言に尽きる。見ている側が「今だ、パスを出せ」と思う瞬間があっても、確実なパスコースの確保と味方の十分なフォローアップがない時には、カウンターのリスクを考えてパスを出さない。そして、日本の攻撃のスピードダウンをとらえて相手がボールを奪いに出てくると、巧みなテクニックとボディーバランスを駆使してボールをスクリーンする。「速さ」を身上とする若いオマーン選手は粘り強く食い下がることができず、じれてファウルを犯す。リスタートとなったプレーは再び日本のポゼッションにつながり、オマーンのイライラは募っていく。決勝点は、その中村が「ここぞ」という瞬間に体を投げ出して送ったピンポイントパスで生まれた。
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photograph by Takuya Sugiyama