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「偉大なお母さんに身構えていたんです。でも…」ウインドインハーヘア、34歳の静かな日常と「可愛らしい一面」とは?【ディープ母探訪記 増補版・前編】

2025/10/17
ノーザンホースパークにいるウインドインハーヘア
Number1129号の秋競馬特集「華麗なる系譜」では、ディープの母であり、キタサンの祖母であるウインドインハーヘアをノーザンホースパークまで訪れて取材した記事「名馬を産み出す生命力」を掲載。誌面では掲載できなかった牧場関係者のコメントや日々の様子を未公開写真を含め、NumberPREMIERオリジナル記事で前編・後編に分けてお送りします。人間でいえば120歳近い、34歳になった名馬の母が過ごす余生とは?《後編はこちら

 9月も半ばを過ぎ、ノーザンホースパークには爽やかな北海道の秋が訪れていた。青い空。澄んで乾いた空気。エゾリスが忙しそうに走り回り、地面に落ちたどんぐりを集めている。観光客を乗せた馬車がゆっくり通り過ぎ、ポニーショーが行われている建物からは楽しそうな音が漏れてくる。

 そんなパーク内の放牧地に、ウインドインハーヘアはいた。駐車場から近く、新千歳空港からのバスを降りて、まず最初にここへ立ち寄る見学客も少なくない。柵のプレートを読んだ見学客の一人が「えっ、俺の3歳上なの!?」と驚いて呟いた。

photographs by Asami Enomoto
photographs by Asami Enomoto
 

 1991年にアイルランドで生まれたウインドインハーヘアは、イギリスで走り、英オークス2着など活躍。遠征で臨んだドイツのレースでGⅠ勝ちを果たした。

 引退後は繁殖牝馬となり、アメリカ、アイルランドで4頭の仔を産んだのちに日本のノーザンファームへ。ブラックタイドやディープインパクトなど13年間で12頭の仔を産み、21歳で繁殖牝馬を引退。2014年、母馬のいない仔馬の世話をする教育係として、ノーザンファームを母体とするこのノーザンホースパークへやって来た。

34歳を迎えたウインドの1日のルーティン。

 今年、彼女は34歳を迎えた。人間で言えば120歳近くになるという。もう教育係はしておらず、ファンや観光客のための展示馬として毎日を過ごしている。

 朝ご飯は6時。少量をゆっくり食べる。

 食べ物のこだわりは強い。甘くて柔らかい高齢馬用の配合飼料ではなく、若馬が好きな、堅くて原料そのままに近いものを好む。青草も大好き。すべては歯医者が驚くほど丈夫に生え揃った歯のおかげだ。

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photograph by Asami Enomoto

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