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「ステイゴールドの血を引く馬を連れていけ」直木賞作家・馳星周が抱く凱旋門賞への強き願い「その血が薄まる前に、なんとか悲願を達成してもらいたい」
四度の二着。そのほとんどが惜しい二着だった。手が届きそうで届かない。
だから、凱旋門賞勝利は日本競馬界にとっての悲願と呼ばれるようになったのだろう。アメリカでもイギリスでも香港でもオーストラリアでも、日本馬は栄冠に輝いた。もちろん、フランスでも。だが、凱旋門賞だけはまだ敷居が高い。
これまで、数多くの優駿が悲願を達成すべくパリ・ロンシャンの地へ飛んだが、返り討ちにあってきた。理由は明白だ。
同じ競馬と言っても、日本のそれと欧州のそれはサッカーとラグビーほども違う。日本の馬場は人工的でよく整備されている。欧州の馬場はより自然に近く、アンジュレーションが無数にある。そして、雨が降れば田圃のごとくになり、十月のパリ・ロンシャンはよく雨が降る。
日本の馬は基本的に、日本ダービーを勝つことを究極の目標として作られる。五月の府中競馬場は雨の降ることも少なく、軽く、スピードが出る。そんなところで勝つことを目的に生産、育成された馬が、田圃のような泥んこ馬場で走らねばならないのだ。
勝てというのが無理というものではないか。あの名馬、ディープインパクトですら三着がやっとだったのだ(レース終了後に失格処分)。
最初に日本の調教馬として二着になったエルコンドルパサーはフランスに長期滞在した。フランスの馬場を走り込むことで筋肉の質を改善して挑んだのだ。
現在の日本競馬の状況で、エルコンドルパサーのように長期滞在して備えるというのは難しい。
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