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「僕はイチローさんタイプ」堤麗斗&坂井優太になぜサウジアラビアからラブコールが届いたのか「一番のなかの一番になりたい」《新星Wインタビュー》
あの日から驚きが絶えない。5月のニューヨークは心地よい気候だった。夕方過ぎにTシャツ姿でアップを終えると、マンハッタンの街中でそのまま旧型のイエローキャブに乗せられた。世界ユース優勝を含むアマ9冠の実績を持つ堤麗斗は、長く連なる車列を見ながら「歩いたほうが早そう」と思ったが、10分もすればタイムズスクエアの特設リングに到着した。米国で人気を誇る世界2階級制覇王者のテオフィモ・ロペスらがメインに登場するビッグイベントの会場である。そのアンダーカードで組まれたスーパーフェザー級6回戦のプロデビュー戦。車から降りると、すでに堤の入場曲が流れていた。
「送迎車に乗っていると思ったのですが、演出の一環だったんです。黄色の車がタクシーだったことも知らなくて(笑)。何も聞かされていなかったので、マウスピースもなかったし、ひとりで慌てましたね」
別で移動していた陣営は渋滞に巻き込まれていたのだ。入場にぎりぎり間に合ったトレーナーに急いで試合用の衣装に着替えさせてもらい、バタバタしながら準備を整えた。初めての屋外リングで高層ビルに囲まれた異質の空間のなか、心を落ち着ける余裕もなかった。ゴングが鳴れば、プロ5戦目のタフなアメリカ人を攻め立てたが、期待されたKO劇はお預け。持ち前の鋭い踏み込みを思うように生かせず、左構えから繰り出す強烈なパンチにも力みが見えた。
「硬くなり、実力の半分も出せなかったです。30点、40点の出来。倒したい気持ちが強くて、距離が近すぎました。僕の悪いときのパターン。本来は中間距離より少し後ろくらいなので。ただ、日本とは全く違う雰囲気を味わい、慣れない会場で戦えたことは良い経験になったと思います」
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