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「だれか一人成功すれば、あとは続いていく」“中量級の星”平岡アンディが語る自信と奇縁「世界チャンピオンは親父の夢だから」

2025/09/28
鍛え上げられた肉体は、来るべき世界戦に向けて準備は万全だと言わんばかりの仕上がりだ。浮かんでは消える試合に一喜一憂することなく淡々と磨いたその拳で、中量級の壁に風穴を開ける。(原題:[中量級の星として]平岡アンディ「決まったら必ず獲りますよ」)

 またもや世界の厚い壁に跳ね返された。6月19日、東京・大田区総合体育館で期待の佐々木尽が散った。勝てば日本人初のウェルター級世界王者誕生という歴史的一戦は、WBO王者ブライアン・ノーマンが憎らしいほどの強さを発揮して5回KO勝ち。やはり、日本人ボクサーは中量級で世界に通用しないのか。ファンにそう印象付けるような完敗だった。

 佐々木が大の字で失神する姿を目の当たりにし、わがことのように悔しがったのが平岡アンディである。

「正直、ものすごくショックでした。もうちょっとやってほしかった。尽くんは自分の力を信じすぎたゆえに自分のボクシングだけをしてしまった。もちろん自分のボクシングは大事です。でも相手はチャンピオンですから。相手に対応して組み立てなくちゃいけないところもあったのに、そのまま真っすぐ突っ込んじゃったので……」

 平岡は2021年10月、5歳下の佐々木と日本・WBOアジアパシフィック・スーパーライト級王座をかけて争い11回TKO勝ちした。こうした縁もあり、2人は中量級で世界を目指す同志として互いを認め、励まし合い、切磋琢磨してきた。その盟友が自分よりひと足早く世界の舞台に立ち、無残に敗れたのだ。平岡の心中は察するに余りある。

 そして佐々木が敗れた今、中量級の行く末は切り札である平岡の双肩にかかったと言えるだろう。本人も与えられたミッションを十分に自覚している。

「僕は『中量級は無理』というのは絶対にないと思っているんです。勝てない理由はいろいろあると思いますけど、一番は『中量級は無理』という考えそのものです。絶対にできる。だれか一人成功すれば、あとは続いていくと思うんです」

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photograph by Takuya Sugiyama

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