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《掛布雅之が解説》サトテルの“真価”を読み解く「進化した佐藤と、相変わらずの佐藤が同居」「だからこそ目が離せない」

2025/09/11
12球団最速で、自身初の30本塁打の大台に到達した虎の主砲は、プロ5年目の今季、本格覚醒の雰囲気を漂わせている。“ミスタータイガース”掛布雅之が飛躍の裏側を読み解く。(原題:[掛布雅之が解説]サトテルの進化と真価)

 阪神の生え抜きでシーズン40本以上の本塁打を記録した選手は掛布雅之ただひとりだ。1974年から'88年までの15年間のキャリアで打率3割以上は7回、本塁打王に輝くこと3回。'79年の48本塁打はバースに次いで、球団史上2位の数字。球史に輝く左のスラッガーである。

 その掛布に肉薄する勢いを見せる左の大砲が佐藤輝明だ。開幕こそ森下翔太に譲ったものの、4月15日のヤクルト戦から4番に定着。ライバルの村上宗隆(ヤクルト)、岡本和真(巨人)が怪我で離脱するのをしり目に本塁打を量産し、8月8日のヤクルト戦でキャリア初の30本塁打に到達。シーズン40本以上も視野に入れ、本塁打王は確実だ。目を奪うアーチを描くも“期待の若虎”どまりだった眠れる天才が、入団5年目にしてついに覚醒した。

 だが、評論家として佐藤の成長を見つづけてきた掛布は「確実に進化している」と称賛する一方で、「真価はまだ分からない」とブレーキを踏む。阪神史上最強の生え抜き左打者の目に、新時代のスラッガーの躍動はどう映っているのだろうか。

「左打者が甲子園で本塁打を量産するためには、浜風の影響を避けるように左中間を狙う必要があります。今年の佐藤はユニフォームの胸のマークがセンターカメラに映るタイミングが去年よりも若干遅くなっている。なぜかというと、バットをテイクバックして右腰を開いてステップを踏み出すとき、右肩がしっかり残るようになったから。右肩が残ると上半身と下半身にねじれが生じて、コンパクトなテイクバックでも速く、力強くバットを振ることができる。投手有利の飛ばないボールで、30本以上の本塁打を打っているのは素晴らしい」

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photograph by Hideki Sugiyama

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