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【深層】「長期合宿で選手をもう縛れない」ラグビー日本代表がウェールズ2連戦で見せた“必然的な変化”とは?《SH齋藤直人も「緊張しました」と発言》

2025/07/24
第2戦、FW第1列総とっかえで途中出場、隙を見つけて代表初トライを挙げたPR竹内
2013年以来となる古豪撃破に北九州は沸いたが、1週間後の神戸では、深いため息が漏れた……。ただ、12年前と比べて大きく変わった点がある。それはテストマッチに至るまでの「プロセス」だ。(原題:[ラグビーテストマッチ詳報]日本vs.ウェールズ「歴史的勝利と惜敗から見えたもの」)

 7月5日、真夏の日差しが照り付ける北九州市のミクニワールドスタジアムで、雄叫びがこだました。リポビタンDチャレンジカップ2025第1戦、日本代表は7-19とリードされた後半19分から猛反撃。この日が初キャップとなる途中出場のFB中楠一期、WTBハラトア・ヴァイレアのトライで24-19の逆転勝利を飾ったのだ。

 ノーサイドの瞬間、芝の上に倒れこんだまま両手を突き上げて喜びを表現したリーチマイケル主将が声を弾ませる。

「北九州の満員のファンの前でジャパンの勝利を見せることができて嬉しい。今日はゲームプランがうまくいかないところもあったけど、暑さ対策をしっかりやってきたことが生きたと思う」

 リーチが喜ぶのもうなずける。かつて世界最強と謳われ「レッドドラゴン」の異名をとるウェールズからの勝利は2013年以来12年ぶり。以前の「ティア1」、現在は「ハイパフォーマンスユニオン」と称される世界ラグビー上位国からの勝利は'19年ワールドカップ(W杯)日本大会でアイルランドとスコットランドを破って以来6年ぶりだ。日本は'21年にオーストラリアとホームで、スコットランドと敵地で、ともに9点差。'22年にはホームでフランスと5点差、ニュージーランド(NZ)と7点差の接戦を演じたが、勝利には届かなかった。'23年W杯では8強を逃し、エディー・ジョーンズHCが就任した昨季はNZに64点、フランスに52点、イングランドに59点を失う大敗を重ねた。世界ランクは'19年W杯時の最高7位から13位まで後退していた。世界での存在感が薄れる一方だった日本にとって、久々の誇れる勝利だったのだ。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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