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「一生に一回会えるか会えへんかの馬」ドウデュースが見せた“華やかなる浮沈”と種牡馬としての未来「大丈夫。女好きの才能は…」《ノンフィクション》

2025/05/25
4年連続GI勝利。何度辛酸を嘗めても、彼は立ち上がった。好敵手を下したダービー。レジェンドを背に復活した有馬記念。ラストランは幻となっても、ファンはその疾走を忘れることはない。調教師の友道康夫、調教助手の前川和也、そして鞍上の武豊。彼らの証言で鮮やかなコントラストに彩られた日々を振り返る。(原題:[蹄跡を辿る]ドウデュース「華やかなる浮沈」)

 友道康夫調教師の下には、ダービー厩務員が4人もいる。2016年の勝ち馬マカヒキを担当した大江祐輔調教助手、'18年の勝ち馬ワグネリアンの藤本純調教助手、'22年ドウデュースの前川和也調教助手。もう一人は伊藤雄二厩舎時代に厩務員として'93年のダービー馬ウイニングチケットを担当した大ベテラン、島明広調教助手だ。調教師が抱えられる従業員は20馬房で12人と決められているだけに、その中に最高の栄誉に輝いた人が4人もいるのは、陣容の厚みの象徴とも言える。

 優れた調教師にはいつの間にかいい従業員が集まり、それによって競走成績という目に見える成果が現れてくることで、入ってくる馬の質が格段に上がる。友道がまさにそれで、'02年11月、39歳のときに僅か10馬房で開業した当時には想像もできないスピードで、人馬の質、量は充実の一途をたどる。24年目の今年5月15日時点でJRA通算776勝に到達。重賞勝ちは海外での3勝を含む77勝を数え、そのうちの24勝はGI格のレースと、非常に中身の濃い活躍を続けてきている。

 必然的に、友道の手腕を頼って集まってくる預託馬は、超良血のエリートや、セリ市で高額で評価された馬ばかり。並の厩舎なら、どの馬を担当させられるかで従業員の間で嫉妬のような感情が渦巻くことも少なくないのだが、友道厩舎にはその懸念がない。どの馬も好素材ばかりだからだ。

 ドウデュースは、そんなエリート集団の中では、当初目立たない存在だった。

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photograph by Photostud

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