シーズン佳境だったにもかかわらず、画面越しのフィリップ・ブランの表情は実に和やかだった。
パリ五輪後、活躍の場所を韓国Vリーグの天安現代キャピタル・スカイウォーカーズに移したブランは、就任1年目からチーム初の3冠をもたらし、リーグ監督賞を受賞した。改めて指導力の高さを証明したが、細かな戦術と確かな組織づくりの根底には、日本代表での“成功体験”があったに違いない。
「東京プロジェクトに興味を持ったのは、4年間の準備期間があったことです」
フランス代表を率いるなど欧州で実績を残してきたブランが日本代表のコーチに就任したのは2017年のこと。当時監督の中垣内祐一が石川祐希ら若き才能を世界レベルに引き上げるためにポーランドにいたブランに白羽の矢を立てた。中垣内はこんな表現でその功績をたたえている。
「一流の素材をあちらこちらから必死に集め、最後に味付けをして盛りつけたシェフが“素晴らしい三ツ星シェフ”(ブラン)だった、ということなんです。彼はフレンチシェフで、これまでは欧州の料理が専門だったけれど、和の食材を使っても素晴らしい料理を仕上げてくれた」(NumberWeb2023年11月14日のインタビュー記事より)
互いに日本代表を離れた今もメッセージを交わすという二人。今回のインタビューでもブランは中垣内への感謝を口にしていた。
「彼はバレーボール関係者とジャーナリストのつながりをうまく管理してくれました」

“下地”の成果が実ったのは、ブランが監督に就任した2021年からだった。選手とチームは成熟し、パリ五輪前哨戦となった2024年ネーションズリーグで銀メダルを獲得するなど、国際大会で目覚ましい結果を残す一方、Bチームの創設といった新しい取り組みで日本代表チーム全体の視座を高めた。
「最初のサイクルでは日本に慣れ、日本の生活を理解する必要があったのは事実です。そして新しい体制、新しい仕事のやり方を構築するために、多くの時間を費やさなければなりませんでした。2回目のサイクルでは、私たちは成長を遂げ、新しいチームになっていたのです。その後は、ポーランド代表にいたときと同じように、これまでやってきたことを進化させ、パフォーマンスを上げていくことが重要でした。大きな改革を成し遂げようと思ったら、時間が必要なのです」
今回の対談動画では、その他にも以下のようなテーマについてじっくりと語ってもらった。組織論にとどまらず、石川祐希や高橋藍といった大きく飛躍を遂げた選手とのエピソード、そして未来の日本バレーについても言及している。
・日本代表のプロジェクトに興味を持った理由
・目標設定の重要性、相談相手は?
・「8年間のマネジメント」の利点
・恩恵を受けた選手、成長した選手は?
・キャプテン石川祐希に与えた「スペース」
・なぜ石川祐希をキャプテンに指名したのか
・高橋藍を初めて見た時の印象
・セッター関田誠大に求めたこと
・若い才能をどう発掘し、どう育てるか
最後はロス五輪でのメダル獲得に期待を寄せたブラン監督。男子バレー8年間の軌跡がわかる約30分のインタビュー動画、ぜひお楽しみください。
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