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「僕はどっちのタイプだと思いますか?」松井稼頭央が語るショートの守備における“秘密”と「気持ちよかった」プレー《ライオンズ時代を大いに語る》
松井稼頭央の守備には、色気があった。軽やかな足さばきから、柔らかい捕球、流麗なランニングスロー。さらには三遊間の最深部から放たれる矢のような送球。ショートストップ松井稼頭央の守備は、そこに打球が飛んだだけで期待させた。
1997年に初のゴールデングラブ賞を受けると、合計4度の受賞。また、'97年から渡米直前の'03年まで、7年連続でベストナインに選出された。世紀の変わり目を代表する遊撃手である。
しかし、松井がショートストップとしてプレーし始めたのは、'93年のドラフト3位で西武ライオンズに指名され、翌年に入団してからのことだった。
「高校まで投手でしたからね。甲子園でも投げてますけど、PL学園の時はケガばっかりで、ライオンズに入るにあたって投手への未練は1ミリもありませんでした。ただ、野手としてはゼロからのスタートですから、走攻守、ありとあらゆる野球の要素を吸収しなければいけないのが、大変で」
フィールディング、スローイングなどの基本動作からの出発。なかでもいちばん苦労したのが捕球してから一塁へ投げることだった。
「暴投ばっかりでした。ピッチャーの投げ方の癖が残っていて、ピュッと投げる野手の投げ方が出来ない。暴投の連発です。当時は、第2球場の向こうに狭山スキー場の金網があって、そこにボールを何度もぶつけてました(笑)。入団1年目の二軍の試合では、エラーが20個以上もありましたからね。2年目から東尾(修)監督に抜擢してもらい一軍でプレーすることも多くなったんですが、監督は僕が捕球するところまでは見て、その後は目を逸らしてたみたいです(笑)。今では笑い話ですけど、早いとこ直さないといけないと焦ってました」
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