今季から新体制で開幕を迎える、女子サッカー版プレミアリーグといえる「女子スーパーリーグ」に挑む日本人は実に12人。ワールドクラスの才能が集い、数万人を動員する、実力と人気を兼ね備えた環境で、彼女たちが存在感を増している理由に迫った。(原題:[開幕前レポート]なぜ、なでしこたちは女子SLに向かうのか)
フットボール発祥の地が誇る国内リーグでプレーする日本人選手は、男子だけではない。むしろ、女子のほうが需要は高い。
本稿執筆時点でプレミアリーグに所属する“サムライ”は5人だが、女子スーパーリーグ(WSL)に在籍する“なでしこ”は12人。その背景にあるものは何か。
年々高まる人気、より大きな可能性も。
まず考えられるのは、WSLの近年の隆盛だ。イングランドは今、空前の女子フットボール人気に沸いている。世界最大の会計事務所「デロイト」によると、2022年女子EUROでイングランドが初優勝を遂げた直後の'22-'23シーズン、リーグ全体の総収入は前季から50%増となる4800万ポンドを計上。'23-'24は5200万ポンド、'24-'25は6800万ポンドを超えると試算されている。
平均観客数は'21-'22の1923人、'22-'23の5616人から、'23年女子W杯でイングランドが準優勝した直後の'23-'24には7363人に。昨季は実に3度も最多観客数が更新され、現在の記録は今年2月にエミレーツ・スタジアムで行われたアーセナル対マンチェスター・ユナイテッド戦の6万160人だ。
こうした状況から、より大きな可能性が議論されるようになった女子フットボール。いよいよ新シーズンには、WSLと2部リーグがイングランド協会(FA)の管轄から脱し、加盟クラブが共同で運営する『WPLL』(仮名)という団体が統括することが予定されている。この流れは、'92年にプレミアリーグとチャンピオンシップが設立された経緯と同様である。
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photograph by Getty Images / JMPA / Mutsu Kawamori