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「自分が強いとは思っていない。でも…」柔道新女王・角田夏実32歳のビックリ発言「自分が2人いたらいいのに」の真意とは?【独占インタビュー】
2024/08/18
日本人第1号の金メダルで勢いをもたらし、混合団体でも2階級上の相手を投げ飛ばした。激闘から2日後、ふたつの勲章を携えた彼女は柔道に対する飽くなき探求心を口にする。(原題:[新女王インタビュー]角田夏実「自分が2人いたらいいのに」)
「役目を果たしたかなという安堵感はあるんですけど、今も金メダルのうれしさはまだあまりなくて(笑)。自分が勝ったという実感がないというか」
2日前に団体戦を終えたばかりの角田夏実が、そう言いながらにこりと笑う。
開会式翌日の柔道女子48kg級では日本勢で今大会初の金メダル、夏季オリンピック通算500個目となるメダルを獲得。全5試合中4試合で、代名詞ともいえる巴投げと腕ひしぎ十字固めで勝利を手繰り寄せた。
「決して万全の状態ではなかった」も、完璧な試合運び。
地元フランスのシリヌ・ブクリとの準々決勝では大熱狂のなかでの難しい戦いだったが、「コーチの声だけが聞こえるくらいで、他には何も聞こえないほど静かだった」というほど感覚は研ぎ澄まされていた。
「試合の後に『すごい歓声でうるさかったでしょ?』って聞かれたんですけど、まったく感じてなくて。投げたときの記憶もなくて、『一本』と言われ、“あっ、投げたんだ”と気づいたくらい集中していたというか。ゾーンに入っていたんだと思います」
圧巻の強さで頂点に立ったが、怪我の影響で「調子が良かった時期と比べると70%くらい」と、決して万全な状態でこの大会に臨めていたわけではなかった。
「今年に入って、怪我をして治ってやっと柔道ができると思うとまた別の場所を怪我して……の繰り返しで。100%で練習できた時期がほぼありませんでした。でも、ここで休んでしまったら試合のときに後悔するなと思って、ドクターと相談しながら練習して。その時々でできることをやって本番に臨みました」
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photograph by Naoya Sanuki / JMPA