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【金メダリストの必殺技】角田夏実がこだわった柔道「どれだけ対策されても腕ひしぎ十字固めと巴投げで」《夏季五輪500個目のメダル》

2024/08/08
巴投げをする角田夏実
階級変更や、度重なる怪我を乗り越えた苦労人が今大会日本人第1号となる金星を掴んだ。彼女を涙の表彰台へと導いたのは、極め続けてきた豪快な巴投げと、腕ひしぎ十字固めだった。(原題:[日本500個目の栄冠]角田夏実「磨き上げた必殺技」)

 夢に描いてきた瞬間が訪れたとき、角田夏実は喜びを爆発させるわけでもなく、意外なほど落ち着いていた。畳を降りるまで笑顔を見せることもなかった。

「直後はどちらかというと安堵感の方が強かったんです。去年、オリンピック代表に内定してから、ずっとこの日のことを考えて毎日過ごしてきたので、それがようやく終わりをむかえて、緊張の糸が切れたというか。喜びよりもホッとした気持ちの方が強かったですね」

 しかし決勝戦の後、これまで苦楽をともにしてきた今井優子コーチの姿が視界に入ると、緊張の糸が切れ、涙があふれた。

「先に今井コーチが泣いていたんです。涙する姿を見て、本当に頑張ってきてよかったなって」

 その涙は表彰式でも止まらなかった。

 31歳11カ月での金メダルは、東京五輪女子78kg級を30歳10カ月で制した濵田尚里を上回り、日本女子柔道史上最年長となった。しかも角田が獲得した金メダルは今大会、日本にとって最初のメダルというだけでなく、日本が夏季オリンピックで獲得したメダルの総数500個目というまさに記念すべきメダルとなった。

「ずっとそのことを言われ続けてきたので、正直、重圧を感じていました。もともとプレッシャーには弱いタイプなので(笑)。だから、言われてもスルーしていたんです。もちろん、金メダルを獲ってそれが実現できればいいなとは思っていましたけど。もしそういった声をすべて受け止めていたら、きっと自分を保てていなかったと思います」

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photograph by Tetsuya Higashikawa / JMPA

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