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【フィギュアスケート傑作選】「4分への凝縮で、凄みを増した」羽生結弦“新”SEIMEIの深い魅力をレジェンド佐野稔が語る「味の濃い高級な熟成肉のよう」<インタビュー/2020年>

2020 four continents championships
五輪連覇を決めた伝説のプログラムを復活させた羽生。ルール変更で4分30秒から4分へと短縮されたその内容は、密度と精度をかつてないほど高めたものとなった。2年を経ての進化を、日本男子フィギュアの先駆者が語る。(初出:Number PLUS FIGURE SKATING TRACE OF STARS 2019-2020シーズン総集編[佐野稔が見た“新”SEIMEI] 凝縮し凄味を増した持ちナンバー。)

4分半から4分への変更で、見どころが凝縮されている。

―今季、羽生結弦はシーズン終盤の四大陸選手権で、数々の歴史を刻んだフリーのプログラム『SEIMEI』を復活させました。 新『SEIMEI』を見ての第一印象はいかがでしたか?

「一番の大きな変更は、やはり4回転ルッツを入れたということでしょう。今季は本当に身体のキレ味が良く、怪我明けだった平昌五輪とは、全然動きが違います。4回転ルッツの着氷が乱れた原因は、『試合だから跳ぶんだ』という気合いが入りすぎて、高すぎたためです。アドレナリンが出すぎたんですね。それでも平昌五輪に比べて足も太くなり、筋力も増して、力強さがある、という印象を与えたと思います」

―ルール変更にともない、4分30秒のプログラムを4分に作り直しています。

「僕はこの4分の『SEIMEI』のほうが好きですね。内容が凝縮されたことで、無駄が本当になくなり、見所が詰まっています。演じる側にとっては辛いけれど、見る側からすると内容が濃くなっています。ただファンに気遣ったのか、平昌五輪の演技を再現しようとしすぎて全場面を削らずに詰め込んでいるので、後半は体力的にかなりキツくなっている様子もうかがえました」

―1月中旬にプログラムを4分に作り直し、2週間ほどの練習で四大陸選手権を迎えたことになります。

「作戦としては、3月の世界選手権までに仕上げるつもりで1月に変更したのでしょう。世界選手権まで滑り込めば、全く別モノの演技になっていたはずなので、見たかったですね」

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photograph by Asami Enomoto

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