新たに主将に就任したNo.8が、攻守にわたる獅子奮迅のパフォーマンスでジャパンを先導。苦悩の末に獲得した独自のキャプテンシーには、これまでにない牽引力が備わっていた。
「僕がキャプテンとして大事にしたいのは情熱、パッションです」
その言葉通り、2023年W杯日本代表の船頭役として、力強く、ポジティブなエネルギー源であり続けた。
初出場だった'19年大会から不動の主力。「将来のキャプテン候補」と期待され、満を持しての就任だったが、初戦チリ戦はふくらはぎの違和感により緊急回避。第2戦イングランド戦が姫野和樹の初陣になった。
4点を追う後半3分。これ以上離されたくない局面で、今大会初の「ジャッカル」を決めてピンチを救った。不安を払拭する活躍だったが、チームは12-34で敗れた。
「率直に悔しい。でも下を向いている時間はない。次の試合に向けて準備したい」
その「次」はサモアとの第3戦。共に1勝1敗。負ければ2大会連続の決勝トーナメント進出が遠のく大勝負だった。
パフォーマンスを出すことでリーダーシップを発揮。
サモアは前進力が武器だ。日本がフォーカスするのは「最初のフェーズのディフェンス」(ジョン・ミッチェルDFコーチ)だった。
開始3分。サモアが展開攻撃を仕掛ける。ここで姫野がモール後の1フェーズ目、2フェーズ目と連続タックル。その後の攻守交代を誘い、序盤の劣勢挽回に貢献した。
アタックではボールキャリーで強みを発揮。一番槍として突っ込み、前半7分には屈強な相手HOセイララ・ラムを弾いた。
17-3とリードしていた前半36分だ。HO堀江翔太がタックル時の頭部同士の衝突によりイエローカード。スクラム、ラインアウトの要を欠く事態となった。
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photograph by Hiroyuki Nagaoka