明るい話題の少なかった7〜8月のラグビー日本代表国内5連戦。2人の活躍は貴重な、ファンに希望を与える材料だった。
「福井ってやるねえ」「長田はいいねえ」
多くのファンが、口直しと言いたげに、若い2人の活躍を称えた。
福井翔大は、ワールドカップイヤーの初戦となった7月8日のオールブラックスXV戦に7番で先発出場。試合開始早々のジャッカルを始め、コンタクトエリアでラグビー王国の精鋭たちと正面からバトルを繰り広げてPKを獲得。敵将レオン・マクドナルドは「日本の7番は私たちに何度もトラブルを起こさせていた」と称えた。
リーグワン新人賞を手土産にジャパン初招集を受けた長田智希は、最初のオールブラックスXV戦から3試合はベンチスタートだったが、トンガ戦から先発に昇格。視野の広さとバネの効いたランを武器にトライを演出しただけではない。トンガ戦では相手の巨漢3人を相手に一人でラックをめくりあげてターンオーバー。試合の終盤にセミシ・マシレワのパスがインターセプトされ、相手に独走されたピンチをFB松島幸太朗が止めた場面では懸命にバックアップに戻り、相手のオフロードパスコースを塞いで相手の同点トライを阻止。巧さと強さと賢さで、W杯前の唯一の勝利に大きく貢献した。
世代トップの2人、高校卒業後は違う道のりを辿る。
2人はともに1999年生まれ。福井は今回のW杯開幕後に、長田は閉幕後に24歳になる。高校3年時は、東福岡の福井は超高校級のスケール、総合力の高いNO8といわれ、高校日本代表で主将を務め、U20日本代表ではFW兼BKの二刀流でチームを支えた。長田は東海大仰星を主将として花園優勝へ導き、高校日本代表では福井が遠征を負傷で辞退すると最終戦で主将代行を務め、U19アイルランドに勝利した。いわば、世代のツートップとして高校ラグビーを引っ張った2人。だがその2人がW杯に辿り着くまでの道のりには違いがあった。
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