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なぜイスタンブールで「サネッティの4番」が驚くほど多かったのか? インテリスタが“心のカピターノ”と挑んだCL決勝。

2023/06/27
CL決勝の舞台に集ったインテルファン。19シーズンでスクデット5回、CL1回獲得のサネッティ人気はいまも健在

 チャンピオンズリーグ決勝の舞台となったイスタンブールを歩いていて、ハビエル・サネッティのユニフォームを着たインテルファンの多さに驚いた。ブルーモスクやバザールなど観光地に集まり歌うインテリスタの集団の中には、必ずサネッティの4番があった。現在はクラブ副会長を務めるが、現役選手よりも人気があるふしすらある。

 なぜ、いまだにサネッティなのか。

 サポーターに聞くと「俺たちのカピターノだから」と言う。現チームの主将は実際にはGKのハンダノビッチで、CL決勝ではブロゾビッチがその役を務めた。しかし彼らにとって、心の中のキャプテンはいまもサネッティのままなのだ。

「13年前はサネッティと一緒にCLを獲った。今回もきっとそうなる」

 当時主将を務めたサネッティの4番を着て縁起を担ぐ意図もあったのだろう。あの優勝メンバーで現在クラブにいるのは彼だけだ。

 サネッティは1995年にアルゼンチンのバンフィエルドからインテルに加入したが、ほとんどのファンは彼のことを生え抜きの選手として捉えている。欧州ではインテルにキャリアを捧げ、引退後も解説業などを通ることなくクラブに残った。

 親しみやすさを感じさせるスペイン語なまりのアクセントと、その人柄も愛される理由だ。アウェー遠征の際は宿舎の前でサポーターと戯れる。ミラノの街中や移動中の空港でも気さくにファンと写真を撮り、「俺たちの仲間」といわれる。クラブの中国人オーナーを批判するファンはいるが、その隣にいるサネッティが批判されることはない。

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photograph by Shin Toyofuku

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