チャンピオンズリーグ決勝の舞台となったイスタンブールを歩いていて、ハビエル・サネッティのユニフォームを着たインテルファンの多さに驚いた。ブルーモスクやバザールなど観光地に集まり歌うインテリスタの集団の中には、必ずサネッティの4番があった。現在はクラブ副会長を務めるが、現役選手よりも人気があるふしすらある。
なぜ、いまだにサネッティなのか。
サポーターに聞くと「俺たちのカピターノだから」と言う。現チームの主将は実際にはGKのハンダノビッチで、CL決勝ではブロゾビッチがその役を務めた。しかし彼らにとって、心の中のキャプテンはいまもサネッティのままなのだ。
「13年前はサネッティと一緒にCLを獲った。今回もきっとそうなる」
当時主将を務めたサネッティの4番を着て縁起を担ぐ意図もあったのだろう。あの優勝メンバーで現在クラブにいるのは彼だけだ。
サネッティは1995年にアルゼンチンのバンフィエルドからインテルに加入したが、ほとんどのファンは彼のことを生え抜きの選手として捉えている。欧州ではインテルにキャリアを捧げ、引退後も解説業などを通ることなくクラブに残った。
親しみやすさを感じさせるスペイン語なまりのアクセントと、その人柄も愛される理由だ。アウェー遠征の際は宿舎の前でサポーターと戯れる。ミラノの街中や移動中の空港でも気さくにファンと写真を撮り、「俺たちの仲間」といわれる。クラブの中国人オーナーを批判するファンはいるが、その隣にいるサネッティが批判されることはない。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Shin Toyofuku