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「子どもがいる男性アスリートで、成績不振の人もたくさんいます」大坂なおみ、産後の復帰へ示した“強烈な意志”

2023/06/12
出産後、2024年1月の全豪オープン出場を目指す大坂(下着ブランドとのコラボコレクションの発表会にて)

 第一子を身ごもり、ツアーを離れている大坂なおみが5月半第ばにツイッターを更新、〈私のキャリアを心配してくださる方々へ――子どもがいる男性アスリートで、成績不振の人もたくさんいます。私より、その方々を心配してはどうでしょう。気にしてくれてありがとう。でも、より必要としている人に心配を向けたほうがいいかもしれません〉と書いた。

 2年前、気分の落ち込みに長い間悩まされていると明かし、その後は大会欠場も目立つ。精神面の不調の影響か、順風満帆だったキャリアに急ブレーキがかかり、モチベーション低下もささやかれる中での妊娠、ツアー離脱だった。

 ネットユーザーには、育児との両立は無理、テニスには戻らないと憶測する向きもあったようだ。そんな外野の野次馬に、男性優位社会への皮肉もまじえたカウンターパンチを見舞ったのだ。

 産後の復帰への強い意志を行間から読み取ることもできる。1月には、おなかの赤ちゃんの超音波診断画像とともに〈将来に向けて沢山楽しみな事があります。それらの一つには自分の子供が私の試合を見て、「あれが私のママ」と誰かに言う事です〉と投稿していた。今回の投稿はそこから一歩進み、子供を授かったアスリートとしての決意がにじむ。

 出産後さらにキャリアを積み上げた選手は決して多くないが、ママさん選手の代表格なら、'17年に女児を産んだセリーナ・ウィリアムズだろう。ただ、そのセリーナも、競技と育児の両立に苦労したことを明かしている。産後うつに悩んだといい、〈気分が落ち込んで、自分が良い母親ではないと感じた〉とSNSに記したこともある。赤ちゃんの世話を人任せにして練習に出掛けることに罪悪感を覚えたとも話している。

 ロールモデルでもあるセリーナの苦悩を大坂が知らないはずはない。先々の困難を予測し、それでも大坂は、私のことならご心配なく、と言い切るのだ。セリーナにできたのだから私も、そんな強い覚悟が見てとれる。

 セリーナは準優勝した'18年ウィンブルドンの表彰式で、育児に励む同性にこう呼びかけた。「すべてのお母さんたち! 私は頑張りましたよ」。大坂も来年以降、一児の母として出場する大会で、ママ仲間を励ます活躍を見せてくれるだろう。

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photograph by Getty Images
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