#1074
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「今日、佐藤外すよ」愛弟子・鳥谷敬が語る<岡田采配>の進化と変化「監督の『目』にすごみを感じました」

2023/06/01
15年ぶりに虎に舞い戻った指揮官はどうチームを率いていくのか。第1次岡田政権下でリーグ優勝にも貢献したレジェンドが、今季の試合の中からその手綱さばきを読み解いた。

(1)状態を見極める目

「今年は序盤から岡田彰布監督の『状態を見極める目』が随所で効いていると感じます。中でも印象深い試合をあげるとすれば、開幕から11試合目で初めて佐藤輝明選手をスタメンから外した4月13日の敵地巨人戦ですね。その日はたまたまテレビ解説と新聞評論の仕事で東京ドームに来ていて、練習のタイミングであいさつに向かったんです。

 三塁側ベンチにいた岡田監督と打撃練習を眺めながら雑談していた時、自然と前夜の投手交代の話題にもなりました。『もう1、2点あったら村上も投げさせとったけどなあ』と振り返っていたので、もしかしたら監督も悩みながらの決断だったのかな、なんて想像もしたのですが……。別れ際に『今日、佐藤外すよ。あのピッチャーやったら渡邉、打つよ』と」

 前日12日の巨人戦。指揮官は1-0で迎えた8回表、先発でまだ1人も走者を許していなかった村上頌樹に代打を送っていた。賛否両論を呼んだ采配から一夜明け、岡田は憶することなく次の勝負手を打った。

 試合前時点で打率1割5分2厘、0本塁打と苦しんでいた佐藤輝をスタメンから外し、オフにトレードで日本ハムから獲得した右打者の渡邉諒を移籍後初めて先発させたのだ。長身190cmから角度の効いた直球、フォークを投げ下ろす巨人の左腕・横川凱を相手に、「直球破壊王子」の異名を持つ27歳の打順はいきなり3番だった。

「しかも渡邉選手が決勝アーチまで放ったからさすがに驚きました。佐藤選手はいくら不調とはいえ主軸の1人。そのまま使い続けた方が無難だったはずです。その勝負勘、決断力はさすがとしか言いようがありません。

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photograph by Wataru Sato
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