吉田正尚という柱を失ったオリックス。その穴を埋めるのは、今季電撃加入のこの男をおいてほかにいない。見た目と裏腹の一本気。すでにチームに好循環をもたらしている最強捕手は、勝利のためにすべてを捧げる。
溌剌と。
オリックスで初めてのキャンプやオープン戦を過ごす森友哉の姿からは、そんな言葉が浮かんでくる。
面と向かうと27歳とは思えない貫禄があるが、プレーする姿は必死で、過去の実績は関係ない、0からのスタートだという覚悟がにじむ。
宮崎キャンプがスタートして2週間ほど経った頃、こう語っていた。
「すごく新鮮な気持ち。プロ1年目のキャンプと同じぐらいの感覚、緊張感でできています。1つ1つのメニューにまだ慣れたわけじゃないので、メニューが変わると、毎度緊張しますね」
オープン戦では早い時期からバットが振れていた。3月5日の阪神戦では2安打の活躍。12日の日本ハム戦では左中間を破る打球を放ち、軽快な走りで三塁を陥れた。
「例年よりは(仕上がりが)早い気はしますね。状態はいいのかなと思います。この時期は(例年なら)まだ全然振れていないはずなんですけどね。意識して早くしているわけじゃないんですけど、勝手に上がっていますね」
新天地での開幕に向け、心も体も自然と沸き立っている。
森は昨シーズン終了後、西武からFA宣言し、4年総額18億円と推定される大型契約でオリックスに移籍した。西武では高卒1年目から41試合に出場して6本塁打を記録。その後、正捕手の座をつかみ2018、'19年にパ・リーグ連覇を果たす。'19年には、捕手としては史上4人目、パ・リーグの捕手では野村克也氏以来54年ぶりとなる首位打者を獲得し、リーグMVPにも輝いた。球界を代表する“打てる捕手”という立ち位置を築いてきた。
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photograph by Hideki Sugiyama