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[初の日系人代表選手]ヌートバー「トカゲ嫌いな愛されキャラ」

2023/03/23
少年時代には高校日本代表のバットボーイを務めた経験も。明るい笑顔が印象的だ
オランダ系アメリカ人の父と日本人の母を持つ25歳のメジャーリーガーは、幼い頃から夢見た日本代表に選出され、一躍注目を集める存在となった。ファンの心をがっちり掴む元気印は、侍ジャパンの秘密兵器となるか。

 2022年9月27日のミルウォーキー。カージナルスが6-2でブルワーズを破り、3年ぶりにナショナル・リーグ中地区制覇を決めた。前カードで史上4人目、通算700本塁打を達成したアルバート・プホルスが、シャンパンを開け、チームメイトに向けて噴射し始めた。シャンパンにびしょびしょに浸される中には、2番・ライトで出場したラーズ・ヌートバーもいた。メジャー2年目の若手は初めての地区優勝に喜びを隠せなかったが、心の隅には、実はもう一つの喜びを抱いていた。

 前日のオフ、遠征先のホテルの部屋で休んでいると、“ピン”という音が静けさを破った。自身のインスタグラムにメッセージが入ったのだ。送り主は目を覚めさせるような名前だった。大谷翔平の通訳を務めている水原一平からだった。会ったこともなければ、メールを交わしたこともなかったのだから、ただただ驚くしかない。“以下にある私の携帯電話番号に、ご都合のいいときに電話いただければありがたいです”というようなメッセージだった。

「急いで携帯を取って電話した。だって、ショウヘイオオタニの関係者から電話くださいと言われたら、すぐに従うでしょう」

 水原の用件は、半年後に行われるWBCについてだった。

「母の旧姓は榎田といって日本で生まれ育った日本人だと伝えた。『まだ何も決まってはいないけれど、もし侍ジャパンに選出されたときは興味があるか知りたい』と。“マジか!”と。でも、考える理由なんてないでしょう。その場ですぐに『イエス』『オフコース』と答えたんだ。『それなら、資格などを確認するので頭の中に入れておいてください』と言われて。とても嬉しかったよ。でも、その時点ではまだ遠い話だったから、できるだけ気持ちを抑えたんだ」

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photograph by Yukihito Taguchi

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