2022年、史上最多となる7261組の挑戦者から20組超の漫才師が決勝進出のチャンスを掴みとった。数多くの芸人を取材してきたライターが、その中でも注目の10組を紹介。西の賞レース覇者から、コントと漫才の二刀流、遅咲きの中堅芸人まで、夢の舞台に挑む芸人を見逃すな!
本稿執筆時の11月末現在、準決勝進出組が発表されている。決勝進出を逃しても敗者復活戦でリベンジするチャンスがある27組。その中から、決勝未経験の注目の漫才師を紹介しよう。
3年連続で準決勝に進出した常連コンビが、カベポスターだ。素人時代にNHK「着信御礼!ケータイ大喜利」で活躍していた永見のセンスが先行して注目されていたが、浜田の「いぶかしげな表情」「しゃしゃり出ないツッコミ」も日を追うごとに洗練。今年のABCお笑いグランプリを、漫才の中にエモい物語を忍ばせる名作「大声大会」で制覇し、松本人志も「安定の面白さ」とツイートした。特上のネタを使ってしまったことでM-1のネタが出涸らしになるのでは……という余計な心配をよそに、9月の単独ライブでは同系統・同レベルの強いネタをこしらえてきた。渾身の勝負ネタでいよいよ全国区に躍り出る可能性は高い。
キュウも同じく3年連続の準決勝進出。ボケのぴろがひたひたと話を進め、それに耳を傾けるツッコミの清水の表情が徐々に険しくなっていく――。ネタのシステムを明かす中盤まで笑いが起きないことも多々あるが、言葉の曲芸で客をじわじわ巻き込んでいく展開は圧巻だ。その漫才に魅入られた麒麟・川島は、キュウのネタ「思い出の話」を「YouTubeで1000回は再生した」と絶賛。各種配信サイトでこれまでの単独公演がのきなみ見られるので、その世界に溺れたくなったら一気通貫でチェックできるのも嬉しい。
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photograph by M-1 GRANDPRIX