もう10年以上も欧州とアジア各地との過酷な往復を続けてきた。腕章の重みを感じながら、いきなり躓いたW杯アジア最終予選中、33歳になった“闘将”は心と体のコンディションをいかに保ったのか。
日本代表の主力に定着したのが2011年1月だから、吉田麻也は10年以上も過酷な“旅”を続けてきたことになる。所属クラブの試合が終わると、すぐさま空港へ。日本やアジア各地での激闘を経て、また欧州にとんぼ返り。パスポートに押されたスタンプは、もはや数えきれない。
33歳になって、飛行機内での過ごし方は随分変わった。20代の頃は、試合での疲労による睡魔に抗えず、シートに座った体勢のまま、離陸する前に爆睡し、着陸の衝撃で目覚めることすらあった。
「今は、絶対にしない。例えば12時間のフライトだったら、まず脱水症状にならないように水分補給をします。血流を良くして足のむくみを取るソックスを履いて、シートベルト着用サインが消えたらマットレスを敷いて寝る。4時間ごとに起きてストレッチをして、マッサージ器具で体をほぐしてから、もう一度寝る。この繰り返しです。機内に限らず、普段から1日何リットルの水を飲むべきか、どれくらい寝て、休んで、食べるかをずっと考えています。おっさんになっちゃったんです(笑)」
前回のロシア大会までは、最終予選の前に調整のための親善試合が組まれることが多かった。ところが今回のカタールW杯予選は、コロナ禍によりフライト後すぐのぶっつけ本番ばかり。機内での徹底した自己管理がなければ、まともなコンディションでピッチに立つことは難しかった。
ただし、“あのとき”ばかりは機内で寝ている場合じゃなかった。昨年10月7日、サウジアラビア戦後のことだ。この数時間前、日本はアウェーの地でライバルに0-1で敗れた。
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