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[オリックスに残るDNA]杉本裕太郎&宗佑磨「ブレークの源はあの日の“イチ流”体験」

2022/04/15
プロとして歩み出し、9年間所属した古巣には、今もイチローの足跡と伝説が息づいている。憧れを胸に、同じ門をくぐった新人選手たち。四半世紀の時を超え、歓喜の主役となった二人にはいずれも宝物のようなレジェンドとの邂逅があった。

 今季の開幕に合わせ、京セラドーム大阪の最寄駅では名物のオリックス装飾がリニューアルされた。メインビジュアルの16人のうち、新たに登場したのは実に6人。昨年は多くの新戦力が台頭したからこそ、25年間も遠ざかっていたリーグ優勝を果たすことができた。その中に、本塁打王に輝いた杉本裕太郎と、三塁でゴールデン・グラブ賞を獲得した宗佑磨がいる。

 昨年、30歳で覚醒の時を迎えた杉本のスマートフォンには、宝物が収められている。自らが撮影したイチローの打撃練習の映像だ。杉本はことあるごとにそれを見返してきた。注目するのは、イチローの右足だ。

「イチローさんは独特で真似しようとしてもできないんですけど、(投手側の)前足の使い方、しっかり前足に乗って(力を)ぶつけているところは参考にしています。後ろに重心を残して軸で打つという人もいるんですけど、僕も前足をトップにして打ったほうがいいと思っているので」

 杉本がイチローと初めて対面したのは、2016年1月の新人合同自主トレだった。当時はまだオリックスの選手寮「青濤館」が神戸にあり、「ほっともっと神戸」で自主トレを行っていたレジェンドに、新人選手が揃って挨拶に行くのが恒例だった。

 子供の頃から憧れの存在だった。初めて観戦したプロの試合は、小学3年生の時に神戸で観たオリックス対西武戦。大学2年の時には、父に「観に行ってこい」と背中を押され、イチローを見るためシアトルまで飛んだ。新人として挨拶した際、自己紹介がわりにその話をすると、「そうなの? いつの試合?」とイチローは興味津々だった。

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photograph by Hideki Sugiyama / Nanae Suzuki

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