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[現地ルポ]全米に広がる二刀流を追って

2022/04/02
昨年8月、観客席から大谷に熱い視線を注ぐリトルリーグの子供たち
1人の日本人選手がメジャーリーグで起こした革命は、アマチュア球界にまで波及しつつある。投打に才能を有する若者と向き合う大学、高校の監督2人を訪ね、転換期を迎えるアメリカ野球の“今”に迫る。

 リアル二刀流・大谷翔平の活躍が全米の野球ファンを熱狂させた2021シーズン。大谷の出現により、アメリカのベースボールにおける二刀流への意識も変わってきた。昨季のプレーオフ中にはレッドソックスのアレックス・バードゥーゴ外野手が二刀流挑戦を明言。今季のトレーニングキャンプ開始後、準備に時間がかかるものの、その意志がまだあることを明かしている。また、二刀流選手として知られるエンゼルスの新戦力マイケル・ロレンゼン投手は今季も二刀流へ意欲を見せ、チームから必要とされれば打撃でも貢献するつもりだという。

 ドラフト指名選手のうち、例年半数以上の指名が見込まれる4年制大学出身の選手たちにも変化は現れている。カリフォルニア大ロサンゼルス校では10年前の'12年から'19年まで二刀流の登録はなかった。しかし、'20年に1人、昨季と今季は2人が二刀流の選手として登録されるようになった。そのうち1人は3年生の昨季から投手に加え、内野手としても登録されている。二刀流プロスペクトの1人に数えられるタナー・ドッドソンが卒業した同大バークレー校では、今季の二刀流4選手のうち3選手が1年生だ。エンゼルスのロレンゼンやカート・スズキを輩出したカリフォルニア州立大フラートン校も2年前に1人、昨季から2人の二刀流が登録されている。

 この傾向は西海岸にとどまらない。東海岸エリアに目を向けると、ライアン・ジマーマンなどを輩出したバージニア大では、直近の3年で二刀流が1人、2人、そして3人と増加。アメリカの中西部ネブラスカ大でも、9年前の0から、昨季は投手兼野手が5人に膨れ上がった。

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photograph by AFLO

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