過去2大会メダルに届かなかった種目で、チームジャパンはメダルを手繰り寄せた。普段は別々に戦う選手たちがお互いに支え合う。総力戦となった激闘の軌跡を追う。
フィギュアスケート団体戦で、日本はソチ五輪から3大会目にして念願のメダルを獲得した。8演技のうち2演技を残してメダル確定という「圧巻」の試合運び。チームジャパンの結束力が、歴史の扉を開けた。
10カ国が参加し、各演技の「順位点」の合計で争う。日本は要となる一番手に宇野昌磨、締めとなる女子フリーに坂本花織、ともに五輪経験者をエントリーした。
「今回は狙えるじゃないですか、メダル。もしジャンプを2つ失敗したら、僕のせいで……という不安はありますが、失敗を恐れた演技はしたくない。最善を尽くして、ダメだったら真剣に謝ります」
宇野がそう話すと、坂本も意を決した。
「フリーお願いしますって言われて、スケジュール見たら、最後! 中野園子先生からは『あなたで決まるのよ、メダル』と言われて……。メダルを考えたら失敗するので、演技に集中しようと思います」
2月2日、8人が北京で合流。練習や選手村での生活を通し、気持ちを繋いでいった。坂本は初日から終始落ち着いていた。
「練習からノーミスすれば自信になるという、自分の芯となる考え方があるので、緊張してもそこに戻るようにしています」
しかし樋口新葉は調子が上がらず、トリプルアクセルどころか3回転ルッツも不調。すると女子2人が面白いかけあいをした。
「雰囲気に呑まれてる自覚はあります」と悩む樋口に、関西人の坂本が「1回目だしな、しゃあない」という。樋口はまともに受け止め「仕方が無いという風に思いたくない。頑張りたい」と返した。坂本は言う。
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photograph by Asami Enomoto/JMPA / Ryosuke Menju/JMPA