松坂大輔、引退。それにちなんだコラムの題材を考える。あの怪物と高校の地方大会でぶつかった無名選手のストーリーはどうか。そのときはバットが宙を切るだけでも、いまとなっては自慢のはずだ。
パソコンのマウスを動かしながら参考となる記事を探していたら朝日新聞のデジタル版に「横浜の無敗伝説、脅かされた初戦」とあった。横浜高校2年の松坂大輔が県秋季大会で藤嶺学園藤沢高校に負けそうになった。7回表に3-3に追いつかれて8回裏の1点で勝ち越す。決勝でなく準決勝でもなく初戦というところがよい。
のちには沢村栄治賞に浴し、ワールドシリーズの勝利投手となる輝く星と青春の打席で対峙した。社会に出て、酒場の棚のテレビにマツザカを見て、その場の同僚や部下に「俺、対戦したことある」と明かす。一同、おーっ。「あれは勝てたゲーム」なんて、そっけなくつぶやけば、さらに、いかしている。
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photograph by Hideki Sugiyama