この夏の東京で活躍を期す選手たち、そしてオリンピアンたちは、かつてない逆風にさらされる五輪を前に、一体何を思うのか。五輪とは、一体いかなる舞台なのか。今こそ、アスリートの話を聞こう。
北島康介
競泳/平泳ぎ アテネ、北京五輪2大会連続金メダル
――いま読み返してみると実に興味深いことを、以前のNumberで北島さんはおっしゃってます。
北島 ホントですか? お恥ずかしい限りです(笑)。
――北京オリンピックのあとです。『やはりオリンピックはどんな大会でも素晴らしい』『オリンピック以上の刺激はないと確信した』『国内で勝っても負けても自分の中で反応がないし、世界選手権やパンパシフィックに出場しても、ここが自分を表現できる最高の場所ではないと思ってしまう』『オリンピックの刺激って、本当にヤバイっすよ』。
北島 そんなこと言ってましたか(笑)。
――北島さんにとって、オリンピックが特別な大会だということはよくわかりました。ではなぜ、北島さんにとってオリンピックは特別だったのでしょう。今回の東京、どうやら海外からの観客は来ないようですし、ひょっとすると無観客での開催もありうる。そんなオリンピックであっても、北島さんが選手であれば、素晴らしいといえる大会になりえるのでしょうか。
北島 ……はい。
――なりえる?
北島 どうでしょう。これは自分にも経験がないことですし、『こうだと思います』というのは、なかなか言い切れないかな。ただ、ぼくが選手の立場だとしたら、いまの世論みたいなもの、オリンピックに対する消極的な声みたいなもの、いや、そういう声が上がるのは当然だと思いますが、でも、すべてを払拭させるようなパフォーマンスをしてやろうって狙っていたかもしれません。
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photograph by Takuya Sugiyama