W杯1周年記念試合が行われた釜石鵜住居復興スタジアム。試合前の黙祷を呼びかけるアナウンスに、特別な言葉が付け加えられた。
「東日本大震災で亡くなった方々へ、そして、先日、若くして亡くなったラグビーの仲間への哀悼の意を表し、黙祷を行います」
整列した選手も、郷土芸能・虎舞の衣装で選手を迎えた子どもたちも、全国から集まった観客もボランティアも、目を閉じて、36歳の若さで旅立ってしまった仲間を偲んだ。
ラグビーの仲間――その言葉が似合う男だった。湯原祐希。2011年と'15年、W杯2大会の日本代表フッカー。'15年大会は1試合もメンバー入りしなかったが、率先して明るく練習をリードし、相手チームを分析し、南アフリカ戦などの歴史的勝利を陰で支えた。'19年W杯で躍進を果たした「ONE TEAM」の源流を作った一人だ。「試合に出られない悔しさは、2人のときはいろいろ言い合ったけど、表には出さなかった」。'15年W杯で同じ立場だった元主将の廣瀬俊朗さんは、そう言って仲間思いの友を惜しんだ。
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photograph by Nobuhiko Otomo